詩集「負の領域」
望みを失うと書いて失望
望みを失った瞳に映るのは
色を失ったかつての希望
キラキラ輝いて見えていたもの
その全てが輝きを失い
喜びに満ちていた明るいリズムも
その音階はバラバラに崩壊して
意味のない不協和音を奏でている
小さな失望も
度重なると巨大化し
目の前には
失望の石ころで山ができる
その山を崩すためには
大いなる希望が必要で
それを手に入れるためにも
小さな石ころを少しずつ崩して
その隙間から差し入る光を集め
全身を光の中に投じる必要がある
分かってはいても手が伸ばせない
まずその一個の石ころを
横へどけるための手が…
何が潜むか分からない
底知れぬ闇に手を差し入れるように
臆病な心が行く手を阻む
いつか自ら手を伸ばせる
その時が我が身に訪れるまで
平成24年5月21日