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【中身見本】Innocent World

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3章


最初にドラコと寝たのは、マグルの世界に戻ってきてすぐのことだった。

「君の住んでいる場所を確認したい」
と、まるで自分の上司のような偉そうな態度で、アパートへと乗り込んできた。
あまりに狭すぎる部屋を見回して、大げさにため息をつく。
「新しい部屋を用意してやろう」
と不遜な態度で肩をすくめた。
「必要ない」
ムカつきながらもハリーは必死で怒りを抑えつつ答える。
「世話をしている僕が恥をかくだろ」
と事も無げに相手は言い放つ。

そのドラコの態度にさらにむかついたが、それでもあの魔法界にいるよりはずっとマシだった。
この呪いのような時間さえ乗り越えれば、自分はマグルの中で目立たない普通の生活が送れるのだ。
決して悪い話ではない。

「とりあえず部屋を全部見てみないとな…」
つぶやきつつドラコはドアを開けて、キッチンやバスルームを勝手に断りもなく次々と覗いていく。
一通り広くもない部屋全体を検分して、最後にベッドルームに入っていった。
ベッドの横に立ち、キッチンのあるほうへ視線を投げかけて、やがて「ふーん…」と軽く頷く。

「……まぁ、最初に感じたよりそれほど悪くはないか。……全体がコンパクトにまとまっているから、とても機能的だ。僕は広い屋敷にしか住んだことないから、逆にシンプルなのがとてもいいかもな。それこのベッドムールから、喉が渇いたらあまり歩かないで、すぐ冷蔵庫までたどりつけるし、―――上々だ」
ひとりで何かを頭の中でシミュレーションをしているのか、ひとしきりブツブツとつぶやくと、やがて軽く頷いた。
「よし、このアパートで手を打とう。決まった!」

隣で所在なげにボンヤリと突っ立っているハリーを見上げて、ドラコはものを含んだような笑顔を浮かべたまま、いきなりと足払いをかけて、相手をベッドへと押し倒した。
有無を言わせず、圧し掛かってキスをしかけてくる。
ハリーは突然の行動に驚き、強い力で相手を押し戻そうとしたら、逆に顔を寄せて低くドラコは耳元にささやいた。

「大人しくしないと、君との契約はナシになるからな」
「ええっ!これって、契約の一部なの?」
「当たり前だろ、ハリー。僕が慈善事業家に見えるか?いったい僕たちは何年の付き合いになるんだ。善意だけで僕が動くはずないだろ?」
ニヤニヤと笑いながら、「しっかりしてくれよ」と言いつつ、ドラコの指が契約内容を確かめるように、相手の股間をズボンの上から撫で上げる。

ハリーは血の気が引くとはこういうことなのかという感覚を、口をパクパクと震わせながら体験した。
「君って、そういう趣味なの、マルフォイ?」
「そうなんだ。僕は実は残念ながら、そういう趣味なんだ」
悪いかとばかりに、あっさりとドラコは認めて、肩をすくめて相槌を打つ。
そして次の瞬間には相手のシャツに手をかけて、脱がそうとするせっかちさだ。

「ま…、ま、まま、まっ…、待ってくれ!」
襲ってくる相手に両手を突っぱねてガードしつつ、ハリーは叫ぶ。
「僕の心の準備が……」
「君は僕に買われたんだ、観念しろよ。心の準備なんかいいから、もったいぶらずに、さっさとパッケージを開いて、その中身を見せろよ」
ドラコは強くハリーのシャツを掴むと強引に横に引っ張り、ボタンを何個も飛ばして、胸元をはだけさせた。

現れた胸元をじっくりと見詰めて検分する。
「ヒューッ!」
と、軽くドラコは感嘆の口笛を吹いた。
ハリーの割れた腹筋がいたくお気に召したようだ。
目を輝かせて、腰を前後に嬉しそうに揺すった。
「……いいね。ものすごくそそられる」

冷たい指先が躊躇せず、ハリーの胸を揉む。
その感触に再びハリーは悲鳴を上げた。
「ええーっ、嘘だろっ!男の胸をもんだりして、いったい何が楽しいの?僕の胸なんか平べったいし、硬いし、さわり心地なんかよくないだろ?」
「そんなことないさ。この着やせしているけれど、脱ぐと厚めの胸板はすごくいいよ……。とてもセクシーでグッとくる」
ドラコは笑ってハリーの乳首をこねくり回した。

「ううう…」とハリーは低くうめいて、涙目の恨みがましい瞳でドラコをにらみつける。
「そんなことされても、ちっとも気持ちよくならないからな、僕はそんなぐらいじゃ絶対に落ちないぞっ!アンアン、言ってあえぐものか!」
ドラコはクスクスと声を上げて、かなり上機嫌だ。

「別に君を感じさせようとしているんじゃないから、安心しろ。自分が触って気持ちがいいから、揉んでいるだけだ。こうやって……」
ぐいぐいと下から上へともみ掴み、手のひらに触れてくる突起をグリグリと転がす。
ドラコの手の柔らかさと、その押されてもまれる感触に、ハリーはほとんど涙目になっていた。

「ぎもぢわるいーー…」
ショックで鼻水が出そうなのか、詰まった声を出し、ハリーは半ベソ状態だ。

「まあまあ……、そんな泣き声を出すなよ、ハリー――。その気持ち悪さが、段々と癖になっていくから安心しろ」
余裕をかましてドラコは、別の意味であえいでしゃっくりを上げているハリーの表情を、じっくりと楽しんでいる。

「も…もし、……もしかして、マルフォイ……。僕はお尻を掘られちゃったりするの?それだけは勘弁してくれよ。いきなり初体験で、ホモのフルコースなんか味わいたくもないよ、僕は……」
ヒンヒンと漏れてくるハリーの声は、惑うことなく涙に濡れている。
「ああ、それはないから安心しろ。僕はネコだ。しかもかなり躾けがいいネコだから、君には最高の天国を味わせてやるよ」

ふわりと目を細めると、その半開きのハリーの口にくちびるをよせて、するりと舌を差し込む。
「―――んっ!?んんーっ!んっ!」
首を振って逃げると、「契約を破棄にするか?」と意地の悪い声でささやく。

「そんな……。全部嘘だと言ってくれよ。タチの悪い冗談だって言ってくれ、マルフォイ……」
「僕は冗談が苦手なんだ。残念だけどな」
ドラコはあっさりと肩をすくめつつ、ふたたびご機嫌な様子で、ハリーのからだ全体を服の上から、腰といわず胸も腹も股間もどこもかしこも、何度も撫でてさわりまくってくる。

「嘘だろ……」
低くうめき首を振る。
目の前で起きていることのすべてが信じられない光景だった。
どうしていいのか分からず、「ううう……」と、くぐもった声しか出てこない自分自身が情けない。

ハリーは今、自分の中で戦場よりも激しい戦いをしていた。
振り子のような心が「YES」と「NO」を行ったり来たりしている。
彼の心臓は早鐘を打ち、震度計に例えるともう針が振り切れそうなほど、Maxの値をはじき出しているに違いなかった。

真っ赤な顔で口をパクパク動かしているハリーを見て、ドラコはニヤリと笑う。
「かわいいよ、ハニー……。だからもっと力抜いてくれよ。気楽にいこう……」
ドラコはハリーのウエストの柔らかい部分に指を這わせると、ちらりと悪戯をたくらむときのように相手を見上げて、その指を上下に動かしてわき腹をくすぐった。

「く、く、……く、くく、……苦しいよ。くすぐったいよ…。やめてくれよー」
ハリーが暴れて身をよじるのを、楽しげにからかう。
「だって僕は君の笑顔が見たい。ふたりで笑って、楽しくセックスがしたいんだ」
作品名:【中身見本】Innocent World 作家名:sabure