詩集-夏-
『叶わない夢』
「叶うはず、無いんだけどね……」
私は、彼に夢を聞かれてそう口を開いた。
しかしそこで彼は私に
「何で叶うはず無いって決めつけるの?」
と、私の言葉をさえぎって言った。
「え……?」
あっけにとられる私に、彼は続けた。
「夢を聞かれて、真っ先にそれを言おうとしたって事はその夢を叶えたいんでしょ? なんで、叶わないなんて言うのさ。……改めて聞くけど、君の夢は?」
そう言う彼に私はうつむきながら言った。
「……小説家」
それを聞いて、彼は私の手を握った。
驚いて私が顔を上げると、彼は笑って言った。
「じゃあさ、その夢二人で叶えようよ」
私は目を見開き、そして頷いた。
「うん……。ありがとう……」