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でんでろ3
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novelistID. 23343
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スイカ

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「ねぇ、ねぇ、早くスイカ食べようよ」
親戚の叔父さんから大きなスイカをもらって、小学校1年生の知美がはしゃぐ。
「でも、食べるには冷やさないと」
小学校4年生の聡美が冷静なところを見せる。
「あんな、大きなスイカ、冷蔵庫には入りません」
お母さんはスッパリ言う。
「切って入れればいいじゃん」
と聡美。
「そんなのやだよー。食べるときにまるまる1個を切るのが良いんじゃん」
知美には、こだわりがあるようだ。
「切ったとしても、今、冷蔵庫に入っている物は、どうするのよ」
お母さんも反対票を投じる。
「ねぇ、ねぇ、冷蔵庫がなかったような昔はどうしてたの?」
知美の疑問。
「お母さんが生まれたときには冷蔵庫はありました」
身の潔白を主張するお母さん。
「じゃあ、お母さんのお婆ちゃんとかは、どうしてたの?」
疑問を投げかけ直す聡美。
「それは、井戸の中に入れたり、川の流れの中に置いておいたりしたみたいね」
知識を披露するお母さん。
「それで行こうよ!」
声のトーンが上がる聡美。
「うちには井戸は無いよ」
怪訝な顔をする知美。
「お風呂で良いじゃん。水を張る間、浴槽にスイカを入れとけば、いくらか冷えるでしょ」
作戦を発表する聡美。

 ちょっと古風なこの家は、風呂も若干古風で、浴槽に水を張ってから、それを風呂釜で沸かすのである。

 総指令官であるお母さんの許可が下りて、子供二人はミッションに入った。
 ターゲットであるスイカを浴槽の底に静かに置き、浴槽の栓をして水を出す。ここで、姉が更なるアイデアを出した。
「水の入る分だけ残して、フタをしておこうよ。そうすれば、きっと、冷たい空気が逃げないよ」
もちろん実行あるのみ。

 さて、テレビでも見ながら待っていようと、母娘そろってリビングでゴロゴロしていると、今頃になってお父さん登場。
「聡美、知美、そろそろ、お風呂が沸いただろうから、入りなさい」
「はーい」
同時に答える聡美と知美。
そして、次の瞬間、全てを覚った2人は、風呂場へと駆け出すのであった。

 ホットスイカのお味やいかに……。
作品名:スイカ 作家名:でんでろ3