ゆうかのショート詩集「まどろみの中で」
いつもの海を目の前にして
波の煌めきと
ざわめきを感じながら瞑想する
そっと瞼を閉じると
背後に流れる車の音も
眼前を過る人の気配も
いつしかすうっと消え去り
やがて意識は
深い闇の中へと沈んでいく
そこには
霧のようなものが立ち込めていて
足元もおぼつかない
手探りで霧を掻き分け
夢遊病患者のような足取りで
わずかずつ歩を進めていく
歩けども歩けども
そこは何もない虚無の世界
長い放浪の旅を終え
くたびれ果てた面持ちで
ふっと瞼を開くと
深い蒼さを湛えた海が穏やかに
そして何かを語り掛けるかの如く
そこには広がっている
ゆっくり立ち上がると
座り込んだ尻の砂を払い
静かに歩き出そう
太陽に照らされた明るい道を
再び ひとりで
作品名:ゆうかのショート詩集「まどろみの中で」 作家名:ゆうか♪