つぶやき詩集 (1)
3月23日午前3時・・
突然思い付いたように雨の国道を走り始めた
西へ西へと走り始めた
信号の眩しさに向かって走り始めた
お気に入りのCDも構わず走り抜ける濡れた国道
何度目の3月23日、午前3時だろう
あの時がルームミラーに甦る
君が口紅を直す仕草
わざとミラーを動かし唇だけを写す
熱い想いがあふれていた夏だった
ふと目を向けたドアミラーには
君の日焼けした細い腕が覗いている
カーステレオから流れる二人のシーズン
君の指が俺の指に絡み戯れている
何度目だろう、3月23日、午前3時・・・
想い出が甦る
濡れたアスファルトに映り込む灯りがまぶしい
ルームミラーに映る君の横顔が
淋しそうに赤く染まっている
次の信号で君は行ってしまった
ドアミラーに歩く君の後ろ姿
一度も振り返らない君を見た時に恋は終わったと気付いた
そんな回想が巡る
午前3時の国道を西へと走っている
夜明けに向かって・・・
作品名:つぶやき詩集 (1) 作家名:Riki 相馬