出口が無いのです(詩集)
朝日を浴びて ひとり
丘一面のコスモスを見ていた
今年も独りなのかというように
コスモスは笑うようにゆれて
同情の声で私に語りかけていた
真っ青な空とコスモスの色が
私の後押しをしていた
ある日二人は 昼前に
丘一面のコスモスを見ていた
もう帰さなさいとでもいうように
コスモスは踊るようにゆれて
歓喜の歌を私たちに歌っていた
快晴の空とコスモスの色が
二人を祝福していた
たった一人 夕方に
丘一面のコスモスを見ていた
もう帰りなさいとでもいうように
コスモスは波のようにゆれて
無言の声を私になげかけていた
茜色の空とコスモスの色が
胸に深く突き刺さる
作品名:出口が無いのです(詩集) 作家名:伊達梁川