カラスの食事(ご機嫌斜めver.)
黒い雨が降りました
鳴き過ぎたカラスの墓に
痛々しいほどシミができました
やってきた蛮族が
墓に唾を吐きました
墓は掘り起こされ
カラスは食されました
「こんなまずい肉は食うたことない。」
顔をしかめる大男の頬に
漆黒の羽がヒラリ、と落ちました
「気味が悪い、気味が悪い。」
電線の上にとまるカラスの群れ
蛮族とカラス達が威嚇し合う中、
雷が鳴り始めました
カラスが大きく羽を広げて
電線を揺らしながら騒ぎ立てます
雷が落ちました
死んだカラスを食べた大男に命中しました
他の蛮族は暴れるカラス達に取り囲まれ、
助けを求めました
やがて、雷雨は止みました
澄んだ空気の中でカラス達は、
嬉しそうに飛び立って行きました
大男の腹の中で声がします
「ありがとう、ありがとう。」
そしてカラスの優雅な食事が済みました
作品名:カラスの食事(ご機嫌斜めver.) 作家名:檸檬