リブレ
「そ、村長!(どう見てもパンチョって感じだよな)」
ジェイクの顔色が少し変わった。
「そうだ、村長だ」
「で、その村長さんが何の用ですか?」
クィンは結構冷静であった。
「君らの強さを見込んで頼みたいことがある」
「頼みごと? ……高くつくぜ」
「僕たちハンターなんです」
「それなら話が早い、後で家に来てくれないか?」
「わかった、気が向いたら後で行く」
「では、気が向いたら来てくれ」
「宿に帰るぞ」
「そうですね」
宿に戻ろうとする二人をまたソフィアは追いかけて行った。
宿に戻ったジェイクは、
「もう、俺は寝るぞ、絶対起こすなよ!」
と言って直ぐに二階の部屋に上がって行ってしまった。
「あ、あの、どうしたんですか、ジェイクさん?」
ソフィアは目を丸くして驚いている。
「今日は、ほとんど一人で戦ってましたから、疲れたんですよ(僕のせいですかね)」
「あ、あの、まだ昼ですよ?」
「あの人、一度寝たら絶対に起きませんから。あっ、それより、この町の古代文明について詳しく聞かせてくれませんか?」
魔導を極めんとするクィンは目を輝かせながらソフィアに聞いた。
二人は椅子に腰掛けゆっくり話すことにした。
「えーとまず、あ、あの、この村の近くに遺跡があります。あ、でも、遺跡と言っても、りっぱなお屋敷で、今でもゼメキスという妖魔貴族が住んでいます。この辺りは、その妖魔貴族の支配下にあって、あ、でも、その貴族とは十数年前、協定を結んで人間に危害を加えることはなくなりました。それで、あ、あの、この村ではその妖魔貴族の研究をしています。妖魔貴族の研究をしている施設は数が少ないので、この村は都から援助を受けることができて」
「それでこの村は都から離れているのにこんなに発展してるんですね」
クィンは真剣な眼差しでソフィアの話に聞き入っている。
「どうですか、あ、あの、何かお役に立てましたか?」
「どうもありがとうございました、いろいろと参考になりました」
そういうとクィンは席を突然立ち上がった。
「どうしたんですか?」
「僕も疲れたので部屋に戻りますね」
そう言ってクィンは笑顔で軽く会釈をして二階に上がって行ってしまった。
クィンも疲れているらしく、部屋に戻ったとたんベットに倒れこんだ――。
作品名:リブレ 作家名:秋月あきら(秋月瑛)