名探偵カラス Ⅰ
アパートの一室で……。
「おい、起きろよ。起きろー! ねぇ、起きてくれよぉー」
呼んでも揺すっても起きない女の子に、ボクは今にも泣きそうになりながら必死で起こそうとした。
「頼むから起きてよ。ねぇ、起きてくれないとボクどうしたらいいんだよ?」
ボクは何も悪いことなんてしてない。この子があんまり可愛いから少しだけ一緒に遊びたかった。それだけなんだから……。
おやつを買ってあげようと言ったら、喜んでついて来るのが悪いんだ。
「知らない人にはついて行っちゃいけない」って、母親ならそう躾けるもんだろう? それを簡単についてくる方が悪いんだ。ボクは悪くはないさ。
もっと一緒に遊びたかったのに、急に帰るなんて言い出すから、ちょっと脅かすつもりで殴っただけなのに……。
どうしても起きないつもりだな。それなら、お仕置きしちゃうぞ! そう言ってボクは、女の子の服を脱がせに掛かった。ボクはその服の下の可愛い足や胸を触りたかった。ちょっと触ってみたかっただけなんだ。
でもその子は、可愛いパンツを履いていた。くまさんの絵が入ったパンツだった。ボクはその中身が見たくなってしまったんだ。仕方ないだろ。可愛いんだから……。可愛い物は見たくなるだろ? 誰だって。
パンツを脱がせて、何となく足を開いてみた。
「可愛い~!」
なかなかお目にかかれないものだ。
指で触ってみた。
女の子の身体がピクッと動いた。
「ふふふっ……」
ボクの下半身が反応し始めるのを感じ、どうしようもなかった。
ボクがいくら呼んでも起きないくせに、身体はちゃんと反応するんだ!
ボクは嬉しくなって、指を少し入れてみた。
「アッ!」
女の子が声を漏らした。
ボクはもう我慢できなかった。その小さなところに、ボクの太くいきり立った物を、ググッと無理やり押し込んだ。
ボクも痛かったが、その子もやはり痛かったと見えて、さすがに目を覚まし、何が起きたのか分からないという様子で、辺りをキョロキョロし、俺と目が合って初めて、その顔は恐怖に引き吊った。
「ぅわあああーーん!!」
突然その子が泣き叫び、ボクは慌てた。
「こらっ、静かにしろ!」
ボクは慌てて女の子の口を両手でグッと押さえつけて、声が出ないようにした。女の子は手足をバタバタさせて抵抗したが、どうしたってボクの力には勝てるわけないんだ。
何分くらいそうしていたのか、気が付くと女の子が動かなくなっていた。
「良かった! これで大丈夫だ」
あんな大声で泣かれたら、近所の人に聞こえてしまうだろ。もう安心だ。
ようやくボクはその子の口から手を離し、ホッと一息ついた。
うん? それにしても何だか……。
ボクは急に不安になって、その子の口元へ手をかざしてみた。
えっ? 息をしてない……。
「ギャー、し、死んだー」
ボ、ボクじゃない。ボクじゃないよー! ボクが殺したんじゃないんだ!
ボクはただ口を塞いだだけなんだから……。ボクの手は普通の人より大きい。
だからどうやら口だけでなく、鼻まで塞いでいたのかも知れない。そう気がついて焦った。
「ど、ど、どうしよう……」
「――そうだ、この子をここにそのまま置いといたらまずい。どっかへ運ばなくちゃ」
ボクは急いで、その子が着ていた服をゴミ袋に入れて、取り合えずベランダの隅に隠すように置いた。それから、押入れの奥から、昔使ったスーツケースの一番大きなのを出してきて、その中に女の子を裸のままで入れた。
「とにかく、旅行する振りをしてどこかへ行って、このスーツケースを捨てて来よう。そうすればきっと、誰にも分かりはしないだろう」
ボクは我ながらいい考えだと思った。
その日の夕方、スーツケースを持ってアパートを出た。
アパートの前で近所の奥さんに出会い、仕方なく挨拶をした。
「やぁ、こんにちは」
「あら、ご旅行ですか? いいですね。それにしても、ずいぶん大きなスーツケースだこと。遠くまで行くんですか?」
「いや、ちょっと大きな荷物があるもんで……。すぐ帰ってきますよ」
ボクは、下手にしゃべって変に勘ぐられても困るから、早々に話を切り上げ、
スーツケースを引きながら取り合えず駅まで行って、さて、どこに行こうかと考えた。