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名探偵カラス Ⅰ

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 どうしてこんな姿になっちまったかなぁ。俺は優秀な魔法使いなのに……。
突然カラスに変えられた我が身を見て、思わず呟いた。

 そんなこと言ったって、王に命令されて仕方なかっただろう! 王の権力は絶対なんだから!

 あー、分ってるよ。そんなことは。
 しかし、犯罪が多発してたことも事実だし、罰則を作らなきゃ、人の物を盗んでも、盗んだ者に何のお咎めもなきゃあ、みんなが盗人になっちまうだろ?
 そうなりゃ世の中ぐちゃぐちゃだー!

 そうさ、だからこそ王は悩んで、その末に俺に相談したんだからな。
 相談されりゃあ返事をするだろうが……。

 もっとましな法律って……
「目には目を、歯には歯を」 の何処が悪いんだよ!
 俺はいい法律だと思うぜ。

 そうじゃないだろ?
 だって相手の目を怪我させた奴には、そいつの目にも怪我させるんだ。
 人の金を盗んだ奴は、そいつの手を切り落とす。そして人の命を奪った奴は、そいつにも命を捨ててもらう。ただそれだけのことじゃないか。
 イヤならしなきゃいいんだからなっ! そうでもしなきゃ、世の中悪人だらけになるところだったんだ。

 ああ、確かにそれだけでは裁けないこともあるさ。
 例えば人の女を取った奴に対する罰は……? そいつには女がいないんだから、取りようがないよな。
 人をそそのかして、他人を騙した奴。騙した本人を罰することはできても、そそのかした奴までは罰することができない。
 確かに色々難しい問題もある。それは認めるよ。

 つべこべ言うなって? でもなぁ……。

 あぁ、分ったよ。このままカラスでいりゃあいいんだろう。
 で、何年くらいだ? この姿でいるのは。

 えぇーっ! 期限なしー? そりゃぁあんまりでしょうが……。

 はいはい、分かりましたよ。しがないカラスで放浪してきまっさ。

 俺は、幾分やけくそ気味に神に言った。

 王の命令で俺が作った法律が、神にはどうも納得がいかなかったらしく、俺は神の怒りを買ってしまい、神がその奇妙な杖を一振りした途端に、真っ黒なカラスに姿を変えられてしまった。
 カラスになってからの年月はすでにうん百年にも及び、お陰で最近はこの生活にも慣れては来たが、やはり餌を探すのには苦労する。
 人間て奴は結構贅沢で、食べ残しの食料をゴミ袋に入れて捨てていやがる。だから、それを漁るのは簡単なんだが、それを漁ってる俺を追いまくるんだ。
それが敵わないのさ。
 なぁー、いいじゃないか。どうせ捨ててあるんだから食べたって。ゴミ袋を啄ばむのだって、結構骨が折れるんだぜ。へへへっ……。

 毎日ネグラから餌場との往復が日課の俺に、降って沸いたような出来事が起こった。それは最初、一つの石ころを投げつけられた所から始まったんだ。
 いつものように俺が、ゴミ袋を漁ってる時だった。
「イテッ!」
 見ると男が、俺に石をぶつけて寄こしたんだ。
「クッソー! 何しやがんだ!」
 男は多少酔っ払ってるようだったが、俺はかなり痛い思いをしたので、そいつを許せなかった。それで、そいつをつけ回している内に、恐ろしいことを知ってしまった。
 しかし、ない知恵を〔俺は元々知恵はあるんだが、カラスになってからあまり使うことがなかったので、多少は退化していた……のかも…アハハハ…〕絞って考えて、結局一つの事件を解決した。
 すると今まで何処へいたのやら、突然神が俺の前に現れて、魔法を解いてくれたのさ。

 神様ありがとうございます。ようやく普通の魔法使いに戻れました。
 俺が涙うるうるで言うと、神は冷めた声で次なる指令を下した。

 ええっー! 指令ですか? もう勘弁して下さいよ。今まで何百年もカラスの姿で我慢してたんだから、せめてこれからは自由にして下さいよ。
 俺は、少し泣き真似をして神に縋ったが、さすが神だな。アハハハ……。
 俺の泣き真似は容易に見破られて、危うくまたカラスに戻されそうになった。

 あ、あっ待って下さい。分かりました。分かりましたよ。
 指令ね。ちゃんと遂行しますよ。だからカラスには戻さないで、お願い。
 へへっ、ちょっと甘えてみたりして……ねっ。

 そして、それから俺と仲間の動物たちとの世直しが始まったのさ。
 みんなも協力してくれよなっ!

作品名:名探偵カラス Ⅰ 作家名:ゆうか♪