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職業天使。  1st love「とある少年の恋」

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天使でございます。



真っ青な形相で叫び、男の横っ面に思い切り回し蹴りを叩き込む。

苦痛の声を上げる間もなく一瞬にして男は宙に浮き(まあもともと浮いているが)、数十メートル吹っ飛ばされると道のど真ん中に叩きつけられた。

「あ、やべ」

少年が、やってしまったという顔をする。

しかし何故だか他の人間には飛んでいる男もなにも見えていないようで、道行く人々はいきなり叫び声を上げて空を蹴った少年に冷たい視線を向けている。

そんなこともおかまいなしに少年は急いで男のもとに駆け寄ると、ぐったりとした体を支えて起こしてやる。

「ご、ごめんなさい、やりすぎた…」

あたふたしながら謝っている少年とは裏腹に、男は“くま”の目立つ目をぱちくりさせ、少年に支えられた状態でいきなり彼の両頬を両手で包み込むように優しく触れる。

「そんなことはどうでもいい。少年、俺は、君を幸せにしにきたんだ」

そしてその言葉と真剣なまなざしを向けた。

しかしなにやら勘違いしたのか、少年は一瞬のうちに男から離れ軽蔑の目を向ける。

「いや、何言ってんのあんた。気色悪い。いきなり会ってそんなことほざくとかほんと気色悪い。ていうかそれ以前に俺、そっちの趣味ないし」

「し、失敬な!別に君を一生幸せにするとかそんなんじゃないからな!大体俺にもそっちの趣味はない!」

弁解したはいいものの不信感丸出しの視線を投げかける少年に男は小さく溜め息をつきながらも、立ち上がって再び身なりを整える。

「…じゃあもう一回言うよ。少年、俺は君を幸せにするためにここに来た」

「うん、繰り返さないでいいから。気色悪い」

「……まあいい。単刀直入に聞こう。今、恋してるだろ?」

男が自慢げに聞いた刹那、少年の頬の辺りがわずかだがピクリと動いた。

しかし彼はそれに反抗するかのように問う。

「……じゃあ逆に聞くわ。マジであんた何なの?いきなり現れて、しかも飛んでるし。明らか人外じゃねぇか!」

「ああ人外さ。天使だし」

「…て」

「天使」

「…………」