心理の服従
「これで三十人目。やはり極限状態の方が引き金を引くようだな」
暗い洞穴の中でモニターを見つめる二人の男。一人は灰色かかった髪と口髭、もう一人は肌の黒い太った男だ。
「はい、教授。今の所全ての新人兵士が撃っています」
太った男が、手に持った紙を見ながら言う。
「次を連れてこい。今度は極限状態を解いて実験だ。私は少し休憩する」
教授と呼ばれた、灰色かかった髪の男はそう言い残し洞穴を出た。
太った男はそれを無言で見送り、モニターを見る。チャーリーが男を撃ち、彼がビストルを落として膝を着いている様子が映っている。
太った男は紙に書かれた名簿からチャーリーの名前を見つけてチェックを入れた。
「――オーケーだ。チャーリー」
そして独りそう呟いた。