投稿てすと
少しだけ触れて、一寸だけ離れる
そして十数秒の沈黙
やがて手と手が触れ合って指先が絡み合い緩やかに繋がる
共有し始める互いの体温は丁度同じ位の温度で分け合うというよりも混ざり合うと言った方が正しかった
特に交わす言葉も無い、ただ、指先を絡ませただけ
この曖昧で中途半端な距離が酷く心地良くて、真綿に首を絞められているようなこの温い関係が酷く幸せだった
「 」
小さく名前を呟けば未だに繋がり合った指先がぴくり、ほんの一瞬痙攣する
そして何事も無かったかのようにだけど少しだけ緩やかになった歩幅を感じ取りながらわたしは小さく口角を上げた
指先と同じ様には絡み合わない視線の滑稽さに気付きながらも決して合わせようとは思わない
目と目が合い視線を絡ませればお互い何も、言えない、言わない事が解っていたから
だから、互いの瞳に互いの姿は映さない