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お布団

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高校になってから電車通学始めたの。
 ローカル線で朝の電車はそれこそ数えるしか無くって、学校が始まるのに間に合う電車には6:45のに乗らないとダメだったの。
 当然、学生や通勤客もその時間に集中するわけ。
 もう毎朝ぎゅうぎゅうで、よほど上手くやらないと居場所がないって感じだったの。
 まあ1ヶ月ぐらいでなんとなく自分がいる場所ができたのかな。

 その日は良いお天気で、目的の駅に着くまでぼおっと電車の窓から外を眺めていたの。
 田舎だから一戸建てが多いんだけど、その中にピンク色の6階建てのマンションが建っていたの。
 ピンクか変なのーとか考えてたら、3階のベランダの窓が開いて手すりに布団が掛けられたの。
 天気いいもんね、ふかふかのお布団って素敵とかなんとか考えながら見送った訳。
 
 でね夕方帰りの電車で、なんとなくピンクのマンションを見たら、まだそのお布団がでたまんまだったの。
 おいおいせっかくのふかふかが台無しじゃんって思ったの。
 それまでは、ただのうっかりさんか、共稼ぎの夫婦で奥さんが帰ってないのか?ぐらいに考えてたの。
 
 次の日は大雨だったの。家から駅に着くまで靴下が台無しになるくらいのひどい雨。
 いつもの場所に立って、いつもの通りに窓の外を見てたわけ。
 そしたらびっくりよ。
 まだあったの、お布団。
 ええ、どういう事って焦っちゃって。変な声出ちゃってすっごく恥ずかしかった。
 雨が当たらない構造のベランダ?とか考えたけど、遠目でもお布団は雨にしっかりと濡れていた。
 濡れたからそのままにしたのかな?とか考えたけど、やっぱり変だよね。

 それから毎日そのマンションを見ていたけど、やっぱりお布団はそのままだったの。
 時間が立つに連れ白かったお布団は段々と薄汚れてきて……
 気持ち悪かったけど、なんか事情があって粗大ゴミに出すお布団をそのままにしているって、私の中に無理矢理結論付けた頃、ようやくお布団は消えたの。

 半年ぐらい立っていたかな……?

 まあ、お布団をそのままにしていた人も変だったけど。それを気にかける私も十分変な人だよね。

作品名:お布団 作家名:asimoto