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さよならを集めて捨てる

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ばいばい、またね。

さようなら、お元気で。

それは何度も繰り返したことで、相手にとってはとても些細なことで。

でも、わたしにとっては これがいつも怖かった。

またねって本当に?


「じゃ、またあしたね」


笑いながら、あれこれとつまらないことを話していたわたしたち。

好きな人、芸能人、人気バンド、化粧品のあれこれ。

髪を触りながら、睫毛の調子を整えながら。

やがてわたしが降りる駅につく。

地味な駅。売店もない閑散とした駅。

金属の軋む音がやがて消え行き電車は止まる。


「じゃ、またあしたね」


わたしは笑い、彼女も頷いて笑った。

段差を抜けて、ホームに降りる。プリーツが舞う。

静かにドアの閉まる音。

もう一度、手を振ろうとわたしは振り返る。

さっき座っていた、座席の方を。


瞬間、どうしようもない焦燥感に駆られる。

不安、不安、不安。

足を組んだ彼女。機械みたいに無表情にケータイを触っていた。

それだけのこと。やがて電車は動き出す。

ねえうそみたい。さっきまで笑ってたのが嘘みたい。

わたしなんて居なかったみたいに。さっきまでのわたしたちは一体なに。

些細なことなのに、不安、不安、不安。


ああ、彼女も他と同じだった。

やっぱりわたしってつまらない人間。興味に値しない。


こうやって、毎日さよならして、繰り返して。

きっと人生なんてそんなものなんだ。

冷たいさよならの繰り返し。

ごめんね。いつも付き合ってくれてありがとう。


人混みに流され、改札を通る。

わたしはケータイを取り出して、歩きながら新着メールの返信を。

生きていくためには必要なことなんだよね。

ああ、明日は何を話せばいいんだろう。

もっと、もっとちゃんと考えよう。


「さよならを集めて捨てる」



(さよならすればどうせみんなおんなじ)