WHITE BOOK
隣の布団にソアラがいないことは分かっている。逆の隣にはりぼんがいたはずだが、彼女もソアラ並みの早起きだとこの4日間で知った。時間はいつもと同じくらいだろう。
今度は夢の内容をしっかりと覚えていよう。
うつ伏せのまま、頭もとにたたんだ服の上の携帯を手に取る。挟んであった属性の相関図を左手に、右手でメモ帳を呼び出して、夢に出てきた7人の特徴を入力していく。会話の内容はすでにうろ覚えだった。
携帯の充電はまだ切れていない。ただずっと圏外で、時間の表示はこの世界に来たその時の時間――5月14日13時22分――で止まっている。この世界では携帯はメモ帳程度にしか役に立たないだろう。
体を起こし、洗面所で顔を洗う。借り物のパジャマから、これまた借り物の白いブラウスと赤いスカートに着替える。さすがに毎日制服は着ていられないから、ここを離れる時まで服を借りることにしたのだ。想楽よりもだいぶ背の高い人から借りたものだから、ミニスカートはほぼ膝丈になっているが、気にしない。リボンタイだけは制服のものをつける。それから赤いシュシュで水色の髪をポニーテールに縛った。
服はいつもと違うが、見慣れた自分の姿が鏡に映った。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ