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右手の捨てたもの

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ひだりあしがにじむようにいたむ。きみはせかいのどこかにむかってかんせいをあげながらきえた。ふりかえるなよとねんじていたら、ほんとうにきみはふりむかなくてぼくはこうかいする。みぎてがくうをつかむようなみょうなうごきをやめない。せかいがここにはないことがわからないぼくのみぎてはとてつもなくおろかだ。ひだりあしがさげすむようにうごかなくなる。ぼくにのこされたたったひとつのせんたくしがあざやかにうきぼりにされる。きみのきえたほうがくからのぼったつきはひかりをはきだそうとはしない。たいようのまわりはくらくおちこんでいて、なぜかぼくのいるばしょはあかるくない。ひだりあしがぼくをせっついた。みぎてはまだいうことをきいてはくれない。ここにあるすべてがきみはもどってこないことをしっている。ぼくのひだりあしもぼくのみぎてもしっている。しゃがみこんだぼくのかおにはほほえみがはりついている。ぼくはためしにわらってみた。ひとりのしょうねんのこえがあたりのくうきをふるわす。そうしてやっとぼくのみぎてはひとつしかないせんたくしをつかんだ。

作品名:右手の捨てたもの 作家名:夕祈