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結城 あづさ
結城 あづさ
novelistID. 10814
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ARTIEICIALLY~第1号~

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第三章



「ん…」
少年は目を覚ましてた。頭がぼーとして重い。寝っ転がったままあたりを見渡すと、知らない部屋にいて知らないベッドで寝ていて横には知らない少女がイスに座りながら寝ていた。
「っ⁉」
驚いて急いで体を起こした。すると頭に鋭い痛みが耳鳴りと一緒にした。一気に目が覚めた気がした。
(…頭を怪我したか…!)
頭を押さえながら記憶の整理をする。
(俺は…あの時)
ガラガラ
「⁉」
「目が覚めたか」
いきなり目の前のドアがあき、白衣の青年が入ってきた。見下ろすような目で自分を見てくる青年を、少年はまるで観察でもするようにじっと睨む。青年の赤い目と少年の鋭く睨む黄色い目があった。決して2人は目を逸らそうとはしなかった。

しばらく2人の睨み合いっこが続いた。どれぐらいの時間がたったか分からないが、長時間していることは分かる。その証拠に、寝ていた琴音が目を覚まして背伸びをした。少年は青年から目を離し琴音を見た。青年もまた琴音を見た。琴音は2人の視線などに気づかず、あくびをしたついでにやっと少年が目に入った。
「あ!よかった…目が覚めたんだね」
琴音は優しい笑顔で微笑んだが少年は何も言わずそっぽを向いた。
「それじゃ、彼女も目覚めたことだし、彼は混乱しているようだから自己紹介ぐらいしとくかな」
青年はそうつぶやき、今までとは違う作りものの笑顔をした。
「はじめまして。俺は神風 稔。医者だ」
作りものの笑顔はキラキラとしていてどこか胡散臭い。少年は睨むような目線で神風を見た。
「お前、何者だ」
少年がそう尋ねると神風は笑顔をやめた。怪しげな自身に満ちたような顔をつくった。
「じゃぁ君は何者だ?彼女…東條 琴音の情報は出て来たのだが…どうやっても君は"人の所に情報がない"んだよ」
そう言うと神風は少年の耳元で、琴音には聞こえないくらいの声で続ける。
「お前の正体は分かっている」
少年は舌打ちをした。

(こいつ…!)
少年は神風を睨んだ。神風の方は一見、うれしそうに見える。
そんな2人を見ながら琴音は首を傾げて、ただようピリピリとした空気を肌で感じた。本能的に今は話しかけてはいけないと分かる。自然に琴音の顔もかたくなった。
そんな琴音に気づいたのか神風は顔を離すと、少し困ったような顔をつくって「ごめんね」と言った。
「琴音ちゃんのデータをすこし調べさせたんだ。ごめん」
「いや…別に大丈夫です」
琴音はあまり難しい話は好きではない。だから今、神風が話していることがプライバシーの侵害にあたるなど思わなかった。

「まだ頭がまわってないだろうから、詳しい話しはまた後でするよ」
そういって神風は、人を安心させるような笑顔をつくり出て行った。