ARTIEICIALLY~第1号~
第一章
少女は起き上がり、背伸びをした。カーテンの隙間から入る朝日が眩しい。その朝日を浴びるかのようにカーテンを開け、女子は部屋を出てリビングへむかった。
女子の名は東條 琴音。年は16歳。母譲りの茶色い目の髪に身近美人といえるぐらいのルックスをしている為、見た目には不自由などしたことがない。
また、父が企業を立ち上げ成功しており、プチセレブといえるぐらいお金にも不自由はなかった。
琴音がリビングにつくと、母・父・妹の天音がすでに起きていた。
父は毎日忙しく、平日と土曜日は朝早くから夜遅くまで働いていて顔も見れない。日曜日も仕事はあるが、朝だけは休むようにしている。つまり、家族全員が集まるのはこの日曜日の朝しかない。
琴音はこの時間が大好きだった。
「お姉ちゃん!」
天音がうれしそうに駆け寄ってきた。『何かあった?』と聞くと、どうやら今日は父が休みということだ。そして家族で遊園地にでも行こうという話だった。天音は楽いつもは大人しいが、パタパタと走り回り怒られるほど楽しみらしい。
「朝ごはん。できたわよ」
母はそう言って、サンドイッチと紅茶をテーブルに置いた。イスに座ると、目の前には父が座っていて母の淹れたコーヒーを飲んでいた。母の淹れたコーヒーはどのコーヒーよりおいしく、父も母が淹れたコーヒーがどのコーヒーより好きだった。だから、琴音の中の両親の匂いはコーヒーだった。
ご飯を食べ終わると、さっさと準備をすませ遊園地へと出かけた。
日曜日ということもあって、家族・恋人などたくさんの人が来ていて賑わっていた。琴音は人混みなどあまり好まないのだが、今日はなぜかなんとも思わなかった。逆に天音はこういう所が大好きでメリーゴーランド・ジェットコースター・空中ブランコなどいろんなものに乗った。もちろん家族全員で。
(ヤバい…ちょっと酔ったかも…)
琴音はフラフラになりながら側にあったベンチに座った。深く息をすってはくと少し楽になった気がした。天音にいろんなところに振り回されたせいか、少し眠気もする。
「お姉ちゃん、次はねコーヒーカップに…」
天音は琴音の顔色に気づくと、心配そうな顔をした。
「私は大丈夫だから…。お母さん達と乗ってきな」
琴音がそういうと、天音は父と母を連れてコーヒーカップへと行った。
その姿を見送ると琴音は寝てしまった。
作品名:ARTIEICIALLY~第1号~ 作家名:結城 あづさ