名前のない気持ち 〜1日目〜
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ぐっと、日差しを睨み付ける
眩しすぎて、目の奥がじんわりする。。。
夕方にさしかかろうというのに痛いぐらいの暑さが不快を呼んだ
ママチャリの熱々のサドルにお尻を乗せて
近くの図書館に向かった
図書館の自動ドアが開く瞬間に冷気が絡み付く
この瞬間はきっとみんな好きだろう
平日の図書館の人の量は最高に良い
2.3人しか常に目に映らないくらいがベスト
映らな過ぎるのもいやなものだ わかるかな?
一日一回、高校に行かなくなってから自分の人生にかかわりないだろうと
思っていた図書館に行くようになった。
最初は借り方すら戸惑ったが
今では、カウンターのおばさんに話しかけられるほどの常連である
返却カウンターに借りていた本をドンと乗せて
新刊と只今帰ってきた本と銘打ってる
場所に行く、これはいつもの流れである
特に目を引くものがなかったので、いつものように
本棚をグルグル回りながら目を引くタイトルを探す
死、生命、苦痛、という文字が入っているものを引き出し
装丁が気に入れば借りる。(脳が欲しているのか?)
しかし、借りる本に統一性はほぼ皆無で
『琉球棒術指南書』
『軟式野球のルールブック』
『本当の錬金術』等
とにかくいつも借りれる上限の10冊まで
ランダムに引き出す
セレンディピティ的で素敵だと思うからという理由が80%
脳科学の本にやたら出てくる
『セレンディピティ』(偶然の発見??)はやけに気に入っている
15.7秒
8冊か9冊ぐらいとったあたりだろうか?
一瞬、本と本の間がグニャリと拡がったような感覚が襲い
目と目の間の一点に吸い込まれるような
引っ張られるような痛みを感じた。
そして背中が キーーンと 冷えて
毛穴から ふわっと蒸気のように 汗が出た。
またか!!またかまたか!?なになにナニ11!?
グワ本気グワ真実、冷静グワグ診断ワ
(12秒くらい)
咄嗟に目の前の本を二冊引き出して
たぶん10冊くらいの本をカウンターに乗せた
2.5秒
パキッとひきつる笑顔でおばさんに挨拶をして
ソワソワする気持ちを押し殺しながら
貸出カードを受け取った
外に向かい
自動ドアが開く瞬間の纏わりつく熱気にも
気を与えずにママチャリにまたがり
家路を急いだ
実質5分くらいの時間が倍以上に感じている
家の重い扉を開けて、蒸れた靴を脱ぎ捨て
つけっぱなしのおかげでキンキンに冷えた家の中に入り
手を洗う、うがいをする、顔を洗う、お茶を飲むガサガサ
ピルケースを取り出して
デパス0.5ミリグラム
噛み砕いて流し込む
そのままソファーに倒れこみ
8秒間隔で呼吸をした。
8秒間隔で呼吸をした。
8秒間隔で呼吸をしている。
吸うのに8
吐くのも8
約18分
↓
最高に心地の良い睡魔に包まれ始めた
さっきまでの心の中の状況は
まとまり次第、脳内と愚痴りあいたいと思う
とりあえず本はソファーの下にあり
電話の子機も近くにある
そばには親友のシルバーチンチラな猫 ルゥ
寝てしまえばなくなるような、大事なものを守るような
気持ちを削り落とすような
うまく言えない欠片は胸に刺さっている
ソファで毛布にくるまった。
作品名:名前のない気持ち 〜1日目〜 作家名:junzo7