夏に咲く花 一話目
そんなことを今更思い返しているが、いつだったか覚えてはいない。
ただ一つあの日は俺の人生の中で一番幸せで忘れることができないものだったということだ。
俺の彼女は明るくて優しい、まあ典型的な理想の彼女そのものだった。
それに比べて俺は頭は普通で、運動も普通、顔も普通。彼女が出来ないわけではないだろうが、クラスの中でもそんなに目立つ存在でもなかった。
では俺がどのようにして彼女が出来たのだろうか…。
そんな事を考え始めてもう一時間は経っただろう。
俺はベッドに横たわりながらゆっくりとまた思いだそうと目をつぶった。
夏のある日だっただろうか…。
俺はいつものように学校に登校していた。
さわやかな朝の風がとても涼しい。
…とまあ普通すぎる内容をだらだらとしゃべっていても仕方がない。
話は学校になってからだ。
俺はいつもどおりのメンバーで楽しくおしゃべりをしていた。
クラスメートの椎名 楓(しいな かえで)と柊 花音(ひいらぎ かのん)
そして西山 涼成(にしやま りょうせい)だ。
つまり男子1人、女子2人とまあこんなメンバーだ。
楓:「ねぇ、駿って彼女いるの?」
言い忘れていたが、俺の名前は岡谷 駿(おかや すぐる)高校二年生だ。
駿:「はぁ?いきなりなんだよその質問。まあ、いねぇけどさ…。」
花音:「あたりまえだよ~。楓ちゃん、こんなやつに彼女いるわけないでしょ!」
駿:「うわっ。それはひどすぎるだろ。」
涼成:「まあこいつなりにはがんばってんだろうよ。あまり傷付けるな。」
駿:「お前、若干笑いながら言うな。ってかそっちのほうが傷つくし。」
楓:「彼女作らないと高校生活はあっという間に周りに抜かされるんだよ。
がんばってね~。」
俺はそのときかなりむかついていたが、確かにこいつらの言っていることも一理ある。
受験までのあと残された日々を勉強だけにするのか。
それとも彼女を作って…まあ幸せな日々を送るのか。
今の俺にはその二つの選択しか残されていないことに気がついた。