二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

撫でる/触る

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

触る




大学が休みの休日に、アルバイトとして通っている事務所の掃除。
掃除、と言ってもやることなんてほとんどない。
全て今はいないアンダインがやってくれたらしいから。

(でも芥辺さんがやれっていうんだよねぇ・・・)

不思議だなぁ、と思いつつも埃ひとつない棚を吹き終わり、
最後に芥辺にコーヒーを入れてデスクの上に置いた。

「お待たせしました」

「ん」

芥辺はひとつ頷いただけで、佐隈には視線もむけずコーヒーに口をつけた。
この人はいつもそうなので、佐隈も気にしない。
夕飯でも作っておこうかと思い、佐隈はキッチンに向かおうと芥辺から背を向ける。

「ねぇ、佐隈さん」

そんな芥辺が急に佐隈を呼び止めた。なんだろう、と思いながら芥辺の方を振り返る。

「はい?なんですか芥辺さん」

「手、貸して。あ、右手でいいよ」

芥辺は意地の悪そうな笑みを浮かべながら、右手をひらひらさせていた。
佐隈は引きつる頬を抑えながら、おそるおそる左手を差し出す。

「え、あ、はい」

芥辺の手が佐隈の手をつかみ、なぜか指をもまれ始める。

(いったい何がしたいんだろう・・・)

「ふぅん。分かった、うん、ありがとう」

けれど、佐隈が思っていた以上に芥辺の用はすんだらしい。
1分もしないうちに、佐隈の右手は離されもう行っていいよ、と言われてしまう。

「え、い、いえ・・・どういたしまして」

頭にいくつものクエスチョンマークを浮かべながら、
佐隈は自分の右手を抑えつつキッチンへと向かった。

「結局・・・芥辺さんは何がしたかったんだろう・・・・?」



「だいたい・・・9号かな・・・」

芥辺がつぶやいた言葉の意味を、佐隈が知るまであとちょっと。


作品名:撫でる/触る 作家名:霜月(しー)