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dmc3双子短編詰め合わせ

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こどもはうそをつかない(上のつづき)



「で?」
ダンテは口元ににやにやとした笑みを浮かべたまま腕を組んでいた。目の前には気まずそうに直立姿勢のまま掌を握る子供がいて、ダンテにはそれが面白おかしくて仕方がなかった。その子供、というのはバージルなのだが、つい先日、ダンテがちょっとしたポカを仕事で犯し、数日間小さくなっていたことは記憶に新しいが、それから一カ月もしない間にそのポカを、今度はダンテの兄であるバージルが行ったのだった。さすが双子ねと、レディに皮肉られたのには少しばかり頭にきたが、目の前で落胆している(おそらく対象は自分自身に向けて)子供を見るとそれすらもどこかへ飛んで行った。
ちなみに今ダンテとバージルがいるのはバージルが丹精込めて作った書斎の中であったりする。そしてこの書斎、天井のわりと高い部屋に本棚を所狭しと設置して作られているため天井近くまでびっしりと本に埋め尽くされている。ダンテは自室の椅子を傍らに置いて顔をしかめているバージルを再度見た。
「とってやろうか?」
「必要ない」
「椅子を使っても取れなかったんだろ?」
そうダンテが尋ねると、バージルはさらに不機嫌そうに黙りこんだ。プライドの高いバージルは決してあの本を取ってくれなどと頼みはしないだろうが、頼むどうこうは大した問題ではないのだ。
「たまには労わってやるよお兄ちゃん。で、どれだ?」
「貴様楽しんでるだろう。」
脅す勢いでこちらを見るバージルは不機嫌を絵に描いたようだが、いかんせん子供が駄々をこねているようにしか見えない。くりっとした子供らしい大きな目がじっとダンテを見上げるのがなんだかかわいらしく思えてしまうから不思議だ。ちっと舌打ちをされてもすねているようにしか見えないし、普段のあの剣呑さは(本人は全く意図しないだろうが)子供の姿で覆い隠されてしまっている。
「楽しむ?まさか!俺はただいつも頑張っているオニイサマをねぎらおうと…」
オーバーリアクションで腕を広げて見せると、一気に機嫌の降下したらしいバージルの眉がピクリと跳ねた。
「……ダンテ、その言葉を忘れるなよ。」
地底の底を這いずるような低い声で吐き出されたバージルの言葉に、まずい、と今更ながらにダンテは思うが後の祭り、不機嫌が最高潮に至ったらしいバージルはそのまま書斎を出ると部屋に閉じこもり元に戻るまで一切ダンテの前に姿を現さなかった。そして三日後、呪いの効果が切れバージルはめでたく元に戻ったのだが、入れ替わるようにして今度はダンテが姿を消したという。さらに数日後、レディがデビルメイクライに訪れると、前見たときより遥かにやつれたダンテがソファーで転がっていた。バージルの姿はない。仕事で出ているということらしい。消息のつかめなくなっていた数日間、いったい何があったのかとレディが尋ねればダンテ曰く、
「悪夢だった」
という。それきり口を閉ざし、思い出すのも嫌なのかひどく嫌そうな表情を浮かべて依頼かと話を流した。そんなダンテの身に何が起こったかはご想像にお任せしよう。