二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

dmc3双子短編詰め合わせ

INDEX|3ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

おとなはわらわない(VDV:バージルがブラコン)



「何故こんなことになった。」
「……いや、その、」
「言い訳を聞いているのではない。状況の説明をしろと言っているんだ。」

苛々とした表情をちっとも隠さないバージルは愛刀の柄をいじりながらいつもより五割増し怖い顔でダンテを見下ろした。バージルは少々人を見下しがちなきらいがあるが、今回ダンテが見下ろされているのには少しばかりの理由がある。ダンテがソファーに座っているというのも理由の一つならば、バージルが立ったままであるということもそうであるし、何より大きな理由はダンテが明らかに小さくなってしまっているというところだった。しょんぼりと肩を落とし、少々上目づかいにバージルを見上げる仕草は幼い時をほうふつとさせ、冷静沈着、さらに今は般若でも背負おうかというバージルの内心にはひどいなんてものじゃない嵐が吹き荒れている。ことの発端は二日前になるが、バージルは急ぎの依頼が入っていたのでその仕事をダンテが受けた時そばにはいなかった。第一、いつも一緒にいるわけではない。一緒に暮らし始めてしばらくは、監視でもするかのようにダンテがバージルの周りをちょろちょろしていたものだが、今ではそんなこともなく普段どおりだ。お互いが家にいるときは一緒にテーブルを囲んだりはするが、あまり深く干渉しあわないことが暗黙の了解のようになっている。ただ、だらしなさすぎるダンテにバージルが切れることは多々あった。潔癖症の気があるバージルには、週休六日制の上、三食デリバリーなんていうダンテの乱れきった生活はひどくストレスを感じるものであるのだから仕方がないともいえるだろう。まあ、二人の生活の話は置いておいて、ともかくバージルはダンテにレディからの依頼が入った時そばにはいなかった。帰ってきてみれば汚い字で、仕事、二日後に帰る、とだけ書かれたメモが机の上に置いてあるだけだったから、仕事の内容をしりようもなかった。場所も知らないからどれだけ手ごわい相手かもわからない。早々死ぬことはないだろうと高をくくって書斎(バージルが勝手に部屋を改造して作った)で本を読みふけること丸一日。食事を取ろうとキッチンに下りてきたところで扉の開く音がし、見知った気配に早かったなと声をかけようとして、そこでバージルは静止した。扉を開けたのは間違いようもなく弟であるダンテであったのだが、想像よりもはるかに小さいシルエットが開いた扉の前で居心地悪そうに立っていた。
「ただいま」

で、冒頭に至る。
バージルはソファーの反対側の椅子に座り眼光鋭くダンテをにらんでいた。殺し合いじみた喧嘩をすることは多々あれど、基本的にダンテに甘い自覚のあるバージルはそうでもして怒りのボルデージをあげておかなければ、何やら厄介な行動に出そうだったからだ。なにせ目の前にいるのは幼いころのダンテであり、転べば泣き、どこへ行くにもひっついてきて、何より素直であったあのころのダンテなのだ(外見は)。無意識に頭を撫でようと伸びた手を何度ひっこめたかわからない。ダンテによれば、レディの仕事自体そんなに難しいものじゃなかったという。少々めんどくさい相手であり、レディの得意とする武器ではひどく分が悪く、お鉢がダンテのところへ回ってきたのだそうだ。二日というのは、その依頼の地が観光地であることもあり、ちょっと町をめぐってこようという打算を含めたものであったらしいのだが、
「悪魔の断末魔にやられた。」
つまるところ、相手にしていた悪魔は呪いのようなものを扱うことのできる悪魔であったらしく、最後の最後でダンテはそれにかかってしまったのだった。依頼人との交渉もそうだが観光をしようという気もすっかり萎え、早々と戻ってきたらしい。
ここまで来るのもやっとだったと呟く若干げんなりしたダンテを見ながら、確かにちんまりとした子供が背中に身の程もあろうかという大剣を背負い、腰には似合わない二丁拳銃を下げさらには大人物のコートを必死に抱えながら歩く姿というのはひどく滑稽なものだろうと想像する。人目を忍んでここまで戻ってきたというのならげんなりとしているのも頷けた。バージルは、ソファーに深く座っているせいで届かない足をぶらぶらとさせるダンテを見て緩んできた口元を意識的に結び、それは貴様の油断が招いたことだろうと、眉間にきつくしわを寄せながら言った。この年になっても快楽主義で刹那主義の抜けないダンテはその場の勢いで行動をする。勢いには確かに凄まじいものがあるが、逆にいえば隙も多い。もっと周りを見ろと、何度バージルが諭したかわからないが伝わっている気配は皆無だ。しまいにはバージルがいるからいいだろとのたまう始末。はあ、と溜息を吐いてみると、目の前に座ったダンテが重々しく口を開いた。
「たぶん数日で治る、と、おもう。たぶん」
少年らしい高い声がそう告げて、ダンテは顔をあげた。曰く、悪魔の呪い自体はそうは長く続かないらしい。依頼先の話では、呪いにかかった人間も数日すれば元に戻っていたのだとか。だから大丈夫だと言うのはダンテの談だ。そういう問題じゃない、ともう一度怒鳴りつけてやろうかと思ったところで、幼いダンテ(外見だけ)の整った眉がハの字に垂れてしまっているのを見て、つい甘やかしたくなる自分を叱責するかのようにバージルは唇を捻じ曲げた。