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手抜きの信頼

　ジョンが働いていた飲食店には不思議な決まり事があった。
『洗った食器はキレイに濯がずに、少し洗剤を残すこと』
　数ヶ月働く内にジョンは流石に気になって店長に、どうしてこんな決まりがあるのかと尋ねた。
「お前は、この店が手抜きの店と思われてることは知ってるか？」
「ええ、僕は、この決まりのせいのように思うんですがね。キレイに洗ったらどうですか？」
　店長はにやりと笑って首を振った。
「そうすると、洗剤すら使ってないと思われるのさ。」