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谷口@からあげ
谷口@からあげ
novelistID. 707
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「あ、もしもしー? 私。こないだのさー、ドラマやばかったよねー」
 特別な目的もなく繰り返される会話。
「もっしー。暇なんだけど、遊ばないー?」
 時間があるからこそ許される会話。
「あ、斉藤です。その節はお世話になりました」
 機嫌を伺うことも忘れない。
「あのー、おたくの製品。どうなってるんですかねー」
 真実を置いておき、補償を求める。
「千代子。大事な話があるんだ」
 人生を決める話もある。
「非常に言いにくいことなのですが。隆志さんがお亡くなりになりました」
 終りを知らせる話も、行ってくれる。
 技術が発達したこの世の中で、それらを使わない場面に出くわすほうが、難しいのかもしれない。
 しかし今、それらを頼らずに生きていくことは、苦痛以外の何物でもない。
 現にそれらの動作が止まった時、人間の安否確認もままならなかった。
 21世紀に生きる人間は、数々の難病を克服してきたものの、これらの事象が物語る。
 電話中毒であると、言わざるを得ない。