月島の秘密・・・1
ボクの身体
ボクの身体はみんなとは違う・・・。
それに気がついたのは小学校4年生の時。
性に興味を持ち始め初めて自慰行為をした。自分の身体に触れた時、あるはずのないものがボクの身体にはあった・・・。女の子と同じものが・・・。母さんにそれとなく聞くと悲しい顔をしていたが、「知ってしまったのだから・・・」と話してくれた。
ボクが産まれた時、普通なら親と同室で過ごすはずがボクはすぐに病院側に引き取られた。
翌日母さんが言われた事「この子は何万人に一人という大変珍しい体質です。できればすぐにでもご両親で相談して決めていただき、手術した方が・・・」その時母さんはボクには性別が二つあるのを知った。しかしこんな小さな身体にメスを入れるのは忍びないと、目立つ性器性別・・・男としてボクはこの世に一日遅れで誕生した。
小学校3年生の時、ボクが産まれたという大きな病院に連れていかれた。ちょっとした風邪なのになんで入院?と思ったが、実はその時女の子である子宮を摘出したらしい。あと数年もしたら初潮が始まってしまう。その前に子宮だけでもと摘出したらしい。確かに外見にはりっぱなものがついているのにそこから流血などしたらパニックになっていただろう。
「ごめんなさい・・・」そう謝る母さん。しかし性に興味をもったボクは違った。ボクは両方の快感を得る事が出来る。どっちの快感も得られる・・・。そう思ってワクワクしていた。
しかし、その期待はおおきく外れた。中学の時に初めて女の子と経験した時、両方の性器を持つボクをバイ菌を見るような目つきで彼女は見た。「気持ち悪い・・・」。なんで?自分だって同じものを持っているのに。二つあるから?
それからボクはこの身体を憎むようになった。
変わったのは中学3年の時。
「ボクは君の全てを知ってるよ」
そう声をかけてきたのは、ボクが入院をしたあの大きな病院・・・浅羽野総合病院の息子だった。
ボクは怖かった。バラされるんじゃないかと思った。
けど彼は・・・涼は違った。こんな身体のボクを受け入れてくれた。精神的にも肉体的にも・・・。
ボクは涼の身体に溺れた。涼もボクの身体に溺れていた。
定期検査のためと病院へ行けばその後は「ボクと内診ね・・・」と涼に抱かれた。女として・・・。けどその後はちゃんと男としての欲求も満たしてくれた。
涼は中学生だと言うのに医師免許を持っていた。小学校のころに海外へ留学し飛び級で大学に通った。中学卒業までに医師免許を取ると言っていたがそれは叶った。
もちろん進学する時も同じ天羽を選んだ。涼にずっと抱かれていたかったから、寮にも入った。
けど、部活を選ぶ時ボクは恋に落ちた。すらりとした長身に色気の漂う雰囲気。陸上部の彼に恋をした。
涼との関係も続けていたかった。こんなボクの身体を受け入れてくれるのは涼だけだから・・・。
ある日、涼に話した。恋をしてしまった事・・・。すると涼は怒るわけでもなく手放しで喜んでくれた。
その代わり・・・「オレとの関係は続けてくれよな」それだけボクに言って。
確かに先輩と恋人になってももしボクの身体を受け入れてくれなかったら・・・そう思うと涼との関係は続けていたかった。
涼とは愛情とは違う単なる性欲だけでつながっていた。もちろんお互いにそれは解っている。だから身体以外はお互いに求めないんだ。セフレ・・・。たぶん一般的にはそういうんだろう。けどお互いに利害関係が成立していればそれも悪くない。