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信じようと、信じまいと―

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信じようと、信じまいと―


第一次世界大戦中のソ連軍研究施設に残されていた資料の中に、
「ドアの向こうに知らない女がずっと立っている気がする」と訴える
精神病患者が激増した時期があった、という記録がある。
奇妙な事に患者全員が、紅い瞳をした女だと医者に話したそうだ。


信じようと、信じまいと―


1988年の12月にイギリスのある病院が、双子を身ごもった妊婦に
帝王切開手術を行ったが、一人しか入っていなかった。
手術は無事成功したが、なんと女性は2ヵ月後に二人目の男の子を出産した。
この事件は地方新聞の記事になったが、後日談がある。
12年後のある日、弟が兄と母親を殺して埋めたのである。


信じようと、信じまいと―


紀元前のエジプトで、発狂した皇帝が国内の文化を全て捨てよと命じた時代があった。
当時の学者たちは知識を後世に残そうと、石に内容を掘って隠したといわれる。
最近になって研究者がその石版を見つけたが、判読できたのは一文だけだった。
「現在主流の宇宙旅行や核エネルギーも、1000年後には古くなっているだろう」


信じようと、信じまいと―


18世紀のフランス、刺激に飽きた貴族の間である『演奏』が流行した。
「楽譜の要らない究極の音楽」と言われたその演奏を、今は誰も耳にする事はできない。
興味本位で当時の演奏方法を調べた者は後悔するだろう。
残っている文献の最初の一行はこうだ。
「―用意するものは安上がりである。奴隷を10人と、よく切れるナイフがひとつ―」


信じようと、信じまいと―


昭和52年山形県のある村で、殺された女性の生皮が剥がされ、
さらには持ち去られる事件が起こった。
数多い遺留品から犯人は被害者の顔見知りだと断定した警察は、
早い段階での逮捕が可能だろうと考えていた。
しかし警察が犯人の異常性に気づくのは遅かった。
安アパートの風呂場で自分の皮を剥ぎ、
女の皮を着て死んでいる男が発見されたのは三日後の事だった。


信じようと、信じまいと―


1971年のスイスで、老夫婦が家を格安で売りに出していた。
新婚のカップルが訪ねてきてすぐに商談は成立した。
だがそのとき老夫婦は、一つだけ約束してほしいとカップルに言った。
「地下室の扉だけは、絶対に開けないでください。一応、開かないようにはしてありますが」
若い二人が住み始めて40年経つが、未だに地下室の扉はみつかっていない。


信じようと、信じまいと―


アフリカの奥地に呪術で殺人を行う民族があると聞き、
面白がったアメリカのTV局が無断であるタレントを殺してほしいと依頼を持ち込んだ。
その放送は話題になり訴訟寸前にまで発展したが、本人が死なないので、
いつしか忘れられていった。だが3年後、タレントは失踪。
部屋には書置きだけが残されていた。
「ぜんぶ話題づくりのやらせだったんだ。だけどあれから毎夜、同じ夢をみる。恐くて誰にも言えなかった」


信じようと、信じまいと―


18世紀のウィーンに、バッハの生まれ変わりと言われた天才ピアノ作曲家がいた。
しかし極端に人と会う事を嫌い、作曲の依頼も手紙で打ち合わせて
楽譜を送りつけるといった徹底主義だったために、クライアントも
彼の顔すら全く知らなかった。
「最後くらいは、自分のために作曲したい」と言い残した彼の遺作は、
腕が三本でないと絶対に弾けない曲だったそうだ。


信じようと、信じまいと―


イギリスのある探検家がアマゾン河を調査している際に、
美しい女性が裸で川岸の椅子に腰掛けて眠っているのを見つけた。
調査を終え近くの部落で現地の長老に話をきくと、
実はそれはこの地方独特の死者に対する弔い方法だった。
経験豊富な探検家はそれ位では驚かなかったが、その次の長老の言葉を聞くとしばらく動けなかった。
「もう500年前に無くなった儀式ですけどね」
その後、探検家は二度と彼女には会えなかった。


信じようと、信じまいと―


ノルウェー北部に「人間でないもののための森」という森があり、
古くから現在まで管理者が先祖代々、余所者が入らないようにしている。
だが、あるとき指名手配犯が森に逃げ込んでしまった。
警察が踏み込もうとするも絶対に立ち入り禁止だと管理者は譲らない。
翌日、管理者は細切れになった犯人の死体を森から運び出してきた。
「死んだ理由は言えない。問題なら、俺達が殺したという事にしてくれ」
そこまでして彼らが守るものとは、何なのだろう?


信じようと、信じまいと―
作品名:信じようと、信じまいと― 作家名:追試