CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
2人の作業員がコンテナの内部に引きずりこまれてすぐ、その
コンテナの下のわずかなすき間から、赤い血がどんどん流れ出てき
た。その血の流れは、あっという間に倉庫の排水口にたどり着き、
排水口から普段なら水が流れているときの音が流れてきた。
その流れている血を、細長いストローのような物体がズーズーと
音を立てて吸い始めた。流れる血を吸っていたのは、ヤギのような
頭部とウナギのような体を持った細長い怪物だった。その怪物の体
は、穴が開いたコンテナの隣にある別のコンテナのいつの間にか開
けられている穴の内部から伸びていた。
すると突然、2つのコンテナだけではなく、倉庫にあるすべての
コンテナがどんどん内部から穴を開けられ、中からとても言葉では
表現できないほどの異形の怪物がコンテナの外へ出てきた。たちま
ち倉庫は、異形の怪物たちで埋め尽くされた。
その倉庫へ、何も知らない1人の作業員が口にタバコをくわえて
入ってきた。倉庫中の生物がいっせいに、突然倉庫に入ってきた作
業員を見た。入ってきた作業員も倉庫を埋め尽くす怪物を見て、彼
は呆然としていた。しばらく、作業員とたくさんの怪物が見つめあ
っていたが、あまりに呆然としていた作業員が、口にくわえていた
タバコを床に落としたとのを合図にしたかのように、倉庫にいた怪
物たちはいっせいに、呆然としている作業員に襲いかかった。作業
員も応戦しようとしたが、あっという間に異形の怪物たちに、八つ
裂きにされ、血や臓器などが倉庫中に飛び散った。その飛び散った
ものを、倉庫中の怪物たちは争うようにして食した。ありつけなか
った怪物は、作業員が入ってきた扉を乱暴に開け、倉庫の外へ出て
行き、外にいた人間を食そうと問答無用に襲いかかった。
倉庫の外に出てきた異形の怪物を見たステーションの人間は、通
路を一目散に走って逃げたが、動きのはやい怪物に逃げるのが遅い
人間が足をつかまれ転び、その上に追いついた怪物たちが襲いかか
り、本人のわずかな悲鳴とおぞましい音がするなか、一片の肉片も
残さずたいらげた。
警報装置がオンになり、ステーション中に警告灯が点いたり、サ
イレンが鳴り始めた……。
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん