グリーンスリーヴス
グリーンスリーブスは死んだ。
赤茶けた髪のソバカスの浮いた白い肌に、ツンと上を向いた鼻のグリーンスリーブス。名前の通り緑の服がとてもよく似合った。晴れた空が似合わなかった。嵐が似合った。嵐がくると一日中窓辺に腰を下ろし、額をガラスに付けていた。稲妻が走るたびに、アッシュグリーンの瞳がギラリとした。
「海を見たことない」
「連れてってやろうか」
「No,thanx.想像してるのいつも。それが好きなの。だから本物はいいの」
暖めた牛乳にラムをたらして、木のスプーンでくるくると混ぜながら言った。グリーンスリーブスの海。
きれいな足をして、爪を咬むクセがあった。字が読めなくて、巧妙に隠してはいたけれど、時々呆然と立ち尽くしていた。
グリーンスリーブス。All my joy.愛とかいうんじゃないんだが。可愛いグリーンスリーブス。