チャンス
プロローグ
鳴り響くバスケットシューズと体育館の床の擦れる音。ボールをつく音。
その音は白いユニフォームに六番をつけた少年を段々と追い詰めていった。
くそ、来るな……こんな足じゃ、止められる気がしねえんだよ!
第四クォーターの残り一分。点差は一点で白いユニフォームのチームが勝っていた。だが、そんな勝ち越している状況は目の前に迫る紺色のユニフォームを着た敵チームの少年によって崩されようとしていた。
ハーフコートにいるのは白が二人と紺が一人。二対一と白がディフェンスの白がどう見ても有利な状況だった。六番の少年と一緒にディフェンスをしていたもう一人のディフェンスの少年が抜かれなければ。
そして、紺色のユニフォームを着た敵チームの少年がドリブルをしながら――――その六番の少年を抜き去って逆転の二点を決めた。
それから、紺のチームはオールコートのマンツーマンディフェンスで白のチームを圧倒し、タイマーのブザーが鳴り響いた。
区大会の一回戦で白のチームは負けを喫した。