朝顔公園
青いジャングルジムに、青いアサガオが咲いていた。
空も、青。大空公園と名前のつけられたこの公園の遊具は、ほとんどが青く染められていて、けれど色褪せたものも多い。そんな中で、ジャングルジムは一際鮮やかな青を見せる。
空と、ジャングルジムと、アサガオ。全てが、同じ青だった。
上へ上へと伸びているアサガオにつられて、ジャングルジムに足をかける。
てっぺんに座って、空を見る。ジャングルジムは、空に溶けた。制服を着た私だけが、ぽっかり浮いている。何で、制服なんて着てきてしまっただろう。こんなのじゃなくて、そう、あのワンピースなら。タンスに仕舞ったままの、真っ青なワンピースを思う。あれなら、こんな色だった。あのワンピースを着ていたら、きっと、私も空に溶けられたのに。
すぐ上を、ゆったりと雲が流れる。鳥が、真上を飛ぶ。ああ、鳥になら、このままでも変われるかな。両手を空に向けた。
すると、ポケットに入れていた携帯が、勢い良く震えた。驚いて体勢を崩しかけ、急いでジャングルジムを掴む。あ、危なかった…。
「なんなの、もう…。」
携帯を取り出して開くと、一通のメールが届いていた。ついでに表示された時刻を見て、はっとする。急いで立ち上がりかけて、またバランスを崩してジャングルジムに掴まった。
もう、学校はとっくに始まっていた。
飛び降りるように地面に足をつけて、急ぐ。
アサガオは、もう青を隠していた。