キミがいるセカイ 『ケッコン』
ケッコン
今日は、5歳の竜輝の話です。
風呂上りに、お互いすっぽんぽんの状態で、竜輝の頭をガシガシ拭いている時。
「ねえ、かーちゃん?」
「何?」
(また、どうでもいい質問だろうなぁ。)
どうしてチンチンがあるのとか、なんで眠たくなるのとか。
でも、今日はいつもとちょっと違う質問だった。
「もしも竜輝がいなくなったら、かーちゃんどうする?」
「え、えええっ!?」
「どーする?」
真剣な表情。
(何、何?)
子どもの、なんてことない質問だったのだけど。
もう、一瞬にして竜輝のいない世界を想像しちゃって…。
思わず涙が出そうになった私。
「ええーっ!やだやだ!かーちゃんは、竜輝がいなくなったら寂しいよーっ!!」
やや本気モードで悲しい顔をしてしまった。
「そうかぁー。」
納得したような竜輝。
「そうだよー、寂しいから、いなくならないで!」
なんだか、恋人同士みたいな会話。
竜輝はしばらく考えたあと、素敵な返事をくれた。
「しょうがないなぁー。じゃあ、ケッコンするか。」
ホントに、なんていうか、クールで。大人の男みたいに見えて。
「うん、ケッコンする!」
思わずプロポーズ受けちゃいました。
きっとケッコンの意味も分かってないキミ。
きっとすぐ大きくなっちゃうキミ。
いつまで、こうやって一緒に過ごしてくれるのかなぁ。
作品名:キミがいるセカイ 『ケッコン』 作家名:柊 恵二