漆黒な夜に
自分の名前を呼ばれて振り返ると 真っ黒な羽を生やした青年がふわふわと飛んでくる
「何?」
少し不機嫌に返すが相手は気にとめる事もなく 子供の様に擦りよってきた。
「おなかすいたァ…」
「またかよ…さっき食わしたじゃん」
「人間の食べ物は美味しくないからイヤだ」
「お前なぁ…」
はぁ…と呆れた様にため息をこぼすと青年、クロードがじっと見つめてきた
「…何だよ」
「食っていい?」
「だめって言ったら?」
「でも食う」
言うなりクロードが首に顔を寄せる
「いただきまーすっと」
(首もとで喋るなっ!!)心の声で怒鳴りながらも吐息がかかる度にピクッと感じてしまう
しばらく首下で匂いを嗅いでいたクロードが急に首をなめあげた。
「っあ!……っ急に…!」
涙目になりながら睨みつけるとクロードは意地悪そうに笑いながら
「イくよ…?」
低く囁きながら首下を思いっきり噛みついてきた
「っあ……クッ!」
痛さとよく解らない感情で頭がショートしそうだった
そんな姫羅の様子をしってか知らずか クロードは旨そうに首もとに吸いつく
その姿に呆れながらも諦めて食われる事にした
こんな夜も嫌いではない。
END