幸福の在り処
お母さんはぼくが泣いてるとき抱きしめてくれる。そしたらぼくは涙なんてすっかり吹き飛んで、にっこり笑顔になれるんだ。
お母さんはぼくにおいしいごはんを作ってくれる。それを食べたらぼくは悩んでいることなんてすっかりばかばかしくなって、にっこり笑顔になれるんだ。
お母さんはぼくの服を洗たくしてくれる。お日さまのにおいのする服を着たらぼくは悲しいことなんてすっかり忘れてしまって、にっこり笑顔になれるんだ。
ほらね。お母さんは僕の幸ふくの女神。
だけどぼくは考えるんだ。
お母さんは泣いてるときだれに抱きしめてもらうんだろう。
お母さんは悩んでいるときどうするんだろう。
お母さんは悲しいときどうするんだろう。
「ねぇ、お母さん。
お母さんの幸ふくはだれが運んでくるんだろう?」
ぼくがそう言うと、お母さんはにっこり笑ってこう言った。
「貴方の全てが、私の幸福よ」