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吉野ステラ
吉野ステラ
novelistID. 16030
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FAアニメ派生集

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第三話<キセキ>





恋人を亡くし
すがっていたものもなくしたロゼが言った。
「あたしは何にすがって生きていったらいいのよ」

本当はその気持ち、よく分かっていた。
教主の都合のいい話を信じたいと願った彼女の気持ち。
本当は
俺は誰よりも知っているんだ。



かつて
母を亡くして
弟の身体を失くして
己の手足を無くした

待っていたのは絶望だった。
何もなかった。

鎧姿の弟が俺を心配そうに見た。
俺はその顔を見れなかった。
あまりにも自分が罪深くて
弟の悲しみを直視できなくて
色のない世界に逃げた。



そんなとき
俺の前にあいつが現れた。
俺を叱咤し、淡々と
「前へ進め」と言った。

俺はあいつの言葉にすがった。

それがロゼはあの教主だっただけ。

俺だってロゼのように
あの男に騙されているのかもしれない。

だから、ロゼの気持ちはよくわかるんだ。

きっと俺は、他の誰かに
あいつが偽者だと言われても信じないだろうから。
自分の目で確かめるまでは、決して。


(いや、確かめても―――)




『やぁ、鋼の。どうした?リオールの報告は昨日聞いたぞ』
耳朶を刺激するこの声。ずっと聞いていたくなる。
「明日の汽車でそっちに戻る。報告書持ってくから」
ただ声が聞きたくなっただけなんて、言えるわけもないし。
『今回の騒ぎは他からも耳に入っている。派手にやったそうじゃないか。
詳細な報告書を持ってきてくれるんだろうな?』
「嬉しそうだな」
『おや、そう聞こえたかい?』
楽しそうに電話口から吐息が伝わってくる。
目を閉じた。

「大佐、あのさ…」
あんたはどうしてあのとき、俺を見つけてくれたんだろう。
それはまるで俺にとって奇跡のようで。
『―どうした?』

「いや、何でもないよ」
やっぱ俺、あんたに騙されてるのかな。
受話器を置いて、自然と笑みが込みあげてきた。

―それでもいいんだ。


ごめんなロゼ
俺はお前のこと言えない。
あのときすがったあの男の言葉
それだけはどうしても俺は譲れないから。



だからロゼ
自分の足で立って歩け。
お前が進んだ足跡を
今度は俺たちが見ているから。


  
  
作品名:FAアニメ派生集 作家名:吉野ステラ