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コラージュの行方に、マスキングテープを添えて

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朝日の輝きを見ないふりは出来ない。ああ、また朝まで眠れなかったのかと判断し、ベッドから抜け出す。今日はシーツがやけに肌に張り付いてくるので雨か、とこれまた判断する。
薄いベージュのカーテンを音を立てて開けるとそれをかき消すほどの雨音が鼓膜を突き刺す。雨は嫌いだ。一見すべてを洗い流してくれるような印象、私もそう思って好きだった、でも、実際は足元にたまっていく泥。濁った水面からは何も窺い知ることは出来ないのだ。
私はすぐに窓を閉めた。開いていたのだ、顔に雨粒が掛かって不快だ。口を開かないまま頬についた液体を拭い取る。そうだ、シャワーを浴びよう。

私の裸眼での視力はとても悪い。だから眼鏡を着用している。コンタクトレンズは体質的にあわなかったし眼鏡の方が好きだった。疲れるとよく言うが外した時の解放感が味わえると思えば、なんて素敵な疲れなのだろう。報いがある疲れは好きだ。
蛇口を捻るとつめたいさっきの雨粒のような水が流れてきて私は目を細める。温度まで同じに感じたからとても不愉快だった。中途半端に濡れる髪。ぜんぶ引き抜いてやろうかと思うくらいにはこの髪を憎く感じた。そこで溜息をひとつ。冷静になれと心の中で呪文を唱える。私は催眠術の類にかかりやすいだろう、と勝手に信じているほどには言葉の影響力は強いと思う。それゆえ言い聞かせはとても大事な作業なのだ。
冷静になれ、冷静になれ。
今は皐月になったばかり、今日は平成23年5月1日。天気は雨だった、間違いない。そして左がお湯の栓で右が水の栓。両方うまくバランスをとって流せば風邪を引くことはない。ああ、服を着る前には身体はよく乾かす事も忘れずにね。
ふく?

私には、服というものを着る事を禁じられている。先ほど隣に寝ていた”彼”によって。