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学園を制し者 第五話

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すでに用意していたのか風見山のスプーンには既にピラフが乗っていた。
「あ、あー…………」
「………………」
…………いつまでたってもご飯は俺の口に運ばれない。
風見山が顔をゆでたこのようにしたまま固まってしまっているからだ。
(テレるなら、最初からやるなんていうなよ……)
「風見山。無理はするなよ」
「む、無理などしていない!」
「……さいですか」
顔の近くで叫ばないでほしい。
風見山は『やるんだ……私はやるんだ……』なんてひとりでつぶやいていた。
意をけっしったのか風見山が俺に向きなおる。
「あ、あー…………」
「………………」
再びフリーズ。
「う……」
と、思ったら何やら変な呻き声をあげた。
「う?」
「うぁぁぁあああああ!!」
「おい、どうした! って、それ俺の……」
何を思ったのか風見山はギネス挑戦中のフードファイターのような勢いで俺の海老ピラフを口に掻きこむ。
「うるはい!」
「うぉ! 食べながらしゃべるんじゃねぇ!」
「……むぐむぐ……ん……」
風見山は一気に掻きこんだ海老ピラフをお茶で流し込んだ。ああ……もったいない……
「……ぷはぁ! だいたいお前が悪いのだ! 食事ぐらい自分で食べれんのか!」
「俺は最初から自分で食べるっていってますけどね!!」
「そんなことは知らん!」
「えー……」
まったくもって理不尽だ。
「……へたれですね」
「雪は頼むから余計なことは言わないでくれ」
「誰がへたれかぁ!」
「ほらこうなった!」
「…………やはり。奴がいるほうが酒がすすむな」
マイペースに酒を飲み続ける親父。
「もう知りません。勝手にしてください」
何かをあきらめた母さん。どうやら俺は神に見放されてたようだ。
「ご主人さま。今度は私に食べさせていただけませんか?」
「そんな、うやま……破廉恥なことは駄目に決まっているだろう!」
「いい加減、静かに飯を食わせてくれぇえ!!」


こうして、新井家の騒がしい夜は更けていった。

作品名:学園を制し者 第五話 作家名:hirooger