日ノ本ノ桜花
咲けば美し、あな美しや。
散れば美し、あな美しや。
朧月夜に舞い始め、はらりはらりと命を散らす。
日ノ本の青春と云われ。
咲いた桜も散り逝く桜も桜の花に変わりなく。
桜、桜、十六夜桜。
紫の空に淡黄の月。
其処に桜は舞い落ちる。
時代に寄りて見下ろす人々は違えども。
嗚呼、着物を召された宮様や。
嗚呼、烏帽子被った貴人様や。
嗚呼、華のお江戸の御花見か。
嗚呼、京の都の御花見か。
姫君様は、御簾の中から。
殿方様は、蹴鞠をされて。
桜、桜、十六夜桜。
散った桜は、あな美しや。
散った桜は、あな美しや。
日ノ本の心に在りや否や。
日ノ本の心に在りや否や。
日ノ本の青春に在りや否や。
日ノ本の青春に在りや否や。
はらりはらりとまた一枚。
嗚呼、いってらっしゃい御仲間と。
嗚呼、おかえりなさい御一人で。
共に逝かれ、私の花弁となられませ。
桜、桜、十六夜桜。
もう直ぐ仕舞いの春の命。
あな美しい桜花の絢爛。
雨足強まり、初夏の兆し。
日ノ本の春に在りや否や。
日ノ本の春は仕舞いかな。
日ノ本の夏が訪れる。