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絹織優希美
絹織優希美
novelistID. 25671
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日ノ本ノ桜花

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桜、桜、十六夜桜。
咲けば美し、あな美しや。
散れば美し、あな美しや。
朧月夜に舞い始め、はらりはらりと命を散らす。
日ノ本の青春と云われ。
咲いた桜も散り逝く桜も桜の花に変わりなく。

桜、桜、十六夜桜。
紫の空に淡黄の月。
其処に桜は舞い落ちる。
時代に寄りて見下ろす人々は違えども。
嗚呼、着物を召された宮様や。
嗚呼、烏帽子被った貴人様や。
嗚呼、華のお江戸の御花見か。
嗚呼、京の都の御花見か。
姫君様は、御簾の中から。
殿方様は、蹴鞠をされて。

桜、桜、十六夜桜。
散った桜は、あな美しや。
散った桜は、あな美しや。
日ノ本の心に在りや否や。
日ノ本の心に在りや否や。
日ノ本の青春に在りや否や。
日ノ本の青春に在りや否や。
はらりはらりとまた一枚。
嗚呼、いってらっしゃい御仲間と。
嗚呼、おかえりなさい御一人で。
共に逝かれ、私の花弁となられませ。

桜、桜、十六夜桜。
もう直ぐ仕舞いの春の命。
あな美しい桜花の絢爛。
雨足強まり、初夏の兆し。
日ノ本の春に在りや否や。
日ノ本の春は仕舞いかな。
日ノ本の夏が訪れる。
作品名:日ノ本ノ桜花 作家名:絹織優希美