蟻酸エチルの恋愛論
僕は普通の学生だ 高校二年の17歳
でも、僕の目に映るこの世界は普通じゃなくて異常だった
プロローグ ~はろーはろー まい だーてぃ わーるど!~
ある良く晴れた午後の昼下がり、僕は昼ごはんを食べようと
いつもの裏校舎にさくさくと草を踏んで足をすすめた。
僕は校舎裏で昼ごはんを食べるのが好きでいつも一人で食べていた。
今日のお弁当はなにかぁ、とのんきに考えていると校舎裏から声が聞こえる
めずらしく先客がいた、男と女の声がする。
だけど、その声は和やかにイチャつくカップルのものではなく
息苦しく呻く男の声と、肩で息をしながら男の腹を蹴りつつ
暴言を吐き散らす女の声だった。
珍しい、女の子の方が優勢だ。
僕は校舎の壁からひょっこり顔をだして状況を覗き見る。
男は息苦しそうに地べたに倒れながら必死に女に弁解している
彼女は聞く耳持たず、という感じで男の腹を何度も何度も蹴り続けていた・・・ ・・・ ん?
僕はふと思った。
腹を蹴られているA君(男って言うの可哀相だから)は知らないヤツだけど
女の子の方は知っている。
名前はそう、雪緒、要雪緒、僕の隣に座っている女の子だ。
結構大人しい清楚系の女の子かと思っていたけど、案外暴力的なんだ。
へーっと関心したまま僕はそんな彼女を怒らせたA君の顔をみる。マヌケ面だ。
そんなA君のマヌケ面の写真を撮ろうとしてポケットから
携帯を取り出してA君の顔を取ろうとした、そのとき
ばちりっ、と音を立ててA君と目が合った(あ、半泣きだ)
助けを求めるように僕を見る、だけど僕は眼をスイッ、と逸らし、彼女の後姿を見て
その場を去った、厄介事はまっぴらゴメンだからね
その日のご飯は教室で食べた。
彼女に殴られるA君と彼を殴る要雪緒の姿を上から見つめて。