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星の川の向こう側

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たとえば僕が女の子だったら、あの子ともっと仲良くなれたかなぁ。
 あの子と一緒に買い物に行って、綺麗な洋服を選んで、雑貨屋さんで
お揃いのヘアピンなんて買ったりして。
 ああ、それは良いな。とても良い。
 僕は綺麗な洋服にも可愛いヘアピンにも興味はないけれど、あの子と
一緒だったらきっと、どんな事でも楽しいだろうな。

 だけど僕は本当は男の子だから、あの子と仲良くなる事はできないんだ。
 最近あの子は僕と口を利いてくれない。
 僕が話しかけてももじもじして、そのうち、ぷいっとよそへ行ってしまう。
 それはとっても悲しいけれど、そうなっちゃうのは僕が男の子だからだよ。
ってみんな言う。

 あの子と僕は女の子と男の子。
 たったそれだけの事なのに、僕たちの間には深い川が流れている。
 その川にはきらきらした星の形をした砂が流れていて、足を踏み入れると
すごく深い。
 それじゃあひとっとびにしようと思うのに、僕の足はそんなに長くもない
んだ。

 だから待ってて。
 僕がもう少し大きくなったら、そんな川なんて跨いでしまうから。
 そうしたら、あの子はにっこり笑ってくれるかしら。
作品名:星の川の向こう側 作家名:ハル