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マイノリティ

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私は女の子の気持ちで女の子を好きになる。
 兄は男の子の気持ちで男の子を好きになる。
 勿論両親はこのことを知らないが、私と兄はお互いの気持ちを知っている。

 私には可愛い女の子の彼女がいる。
 兄には格好良い男の子の彼氏がいる。
 勿論両親はこのことを知らないが、私と兄はお互いの恋人を知っている。

 私は私の彼女が何を思って私と付き合っているのか知らない。
 彼女とははじめ友達だったけれど、知り合って三年経った年の夏に告白した。
 私はまったく純粋な恋心から彼女に交際を申し込んだのだけれど、それを受けた彼女はただ純粋に友達を失いたくなかったのかもしれない。
 そんなことを考えているから、私と彼女はいまだにキスをしたこともなく、私は彼女の手を握るのもドキドキしてたまらない。

 それは兄のほうも似たようなもので、ただ兄は私よりも四つ年上だし、男の子だし、(もしかしたらそんなことは本当は何の関係もないのかもしれないのだけれど)だから兄と兄の彼氏はキスをしたことがあるらしい。
 私はそれを心底羨ましいと思うけれど、しかし兄の彼氏がいったいどういうつもりなのか、兄にも分からないという。

 私達は恋人のことが好きだから、別れを告げるのも告げられるのも嫌で、本当のところはどうなんだとは訊けないでいる。
 これは私達の永遠のテーマかもしれない。
 マイノリティである分だけ、相手の心が見えない。
 私達は恋人の気持ちを疑いながら、この恋愛を続けていかなければならないのだ。
作品名:マイノリティ 作家名:ハル