マジェスティック・ガールEp:1 まとめ
相棒(バディ)の危機に声を上げたのは深冬だった。能力は使えない――スタミナ切れ。その場に滞空し、とっさに<H―EX>を展開。床の触手を薙ぎ払う。
「いけません!後ろ!」
栞が叫んだ。立ち上がろうとするエリカと女性士官のすぐ後ろにまで、肉壁が迫っていたからだ。
――助からない。誰もがそう思った。
「南無三ッ!」
とっさに動いたのは凛だった。<リソース・パニッシャー>をスキー板に見立て、足裏に履き――もとい、浮かべ。宙を滑り。蛇行機動を取り。
「<リソース・パニッシャー>Sモード!征(ゆ)け!!」
蹴り出した。
シュートされた二本の<リソース・パニッシャー>が肉壁に突き刺さる。
「自壊プログラム起動!」
凛の一声とともに、<リソース・パニッシャー>が砕け散り、理論障壁場を展開し、爆ぜた。
拡散された理論障壁を浴び、溶けて消えていく肉壁――その一部。
Sモード…Sucide(自殺)・Sacrifice(犠牲)。そう言う意味であった。
凛は能力を発動し、分子を操作。溶けた肉壁の表面を固め、その場に縫いつける。
固まった肉壁の中から蠢く音。内部の肉が、凝固した箇所を食い破ろうとしているのだ。
「長くは保たない。早くしろエリカ!」
「え…、ええ…!」
呆気に取られた表情をしながらも、身を起こすエリカ。
彼女が幾らかのダメージを負ったのを察して、ミミリは女性士官を担ぎ、申し出た。
「エリカさん。この方は私が受け持ちます」
「分かりましたわ。頼みましてよ」
そう言うエリカは、若干憔悴している様子だった。
作品名:マジェスティック・ガールEp:1 まとめ 作家名:ミムロ コトナリ