意味
血液が流れる。
肺に取り込まれた酸素が血管を巡る。
脳が働き神経へと命令を下す。
酸素を肺に取り込む。
心臓が動く。
延々とそれを繰り返しながら、私は生きている。
だけど、それに意味はあるのだろうか。
ちっぽけな私の生命維持活動に、一体何の意味があるというのだろう。
大儀なく、私は生きる。
無為に、無意に。
自分自身に意味がない事を思い知りながら。
それでも、生きている。
どくん
ドクン
どくん
ドクン
何故この心臓は脈打っているのだろう。
そこに何か意味はあるのだろうか。
せめてこの心が愛情深いものであるように、私は願っている。
そうすれば、この意味のない命にも価値が生まれるのではないか。
私は母に向かって手を伸ばした。
母は慈愛に満ちた目で私を覗き込み、そっと抱き上げてくれた。
この温かい腕の中で私は育つ。
私が母ほどの年齢になる頃、私は命の意味を知ることができるだろうか。
そっと目を閉じて、眠る。
どくん、どくん、と心臓が鼓動する。