私が求めたもの
少女はそう思いながらも自分がこれから記入する紙から視線を外し、教室の一番後ろの席にいる少女は教室を見回した。
自分の目の前にある紙と同じ内容の物に生徒一人一人が必死に何かを書き込んでいる。
――運命ってなんだろうな
日が連れて増していくこの思いの答えを誰か教えて欲しい。
少女は手に持っているシャープペンシルを机の上に置くと教室の天井を見た。
――これは作られた物語なんだろうか
自分以外の人間はすべてCPか何かかもしれない。下手したら自分もCPかもしれない。
少女は目の前に置いてある紙を破りたい衝動に駆られた。
―― 一体私に何を求める? 何を書いて欲しい?
少女は深く、そして長く息を吐くと窓の外を見た。
何も変わらない日常。特に何も無い日常。
――あぁ、私は非日常でも求めているんだろうか
少女はすべてを諦めるかのように目を閉じた。
同時に少女の“目の前”に何かが降りてきた。
“目の前”つまり机の上。
少女はゆっくりと目を開けながらも視線を自分の机に戻した。
――何故、誰も気づかない。この非日常に
少女は机の上を呆然と見続けた。
机の上にいる一人の男を
「一緒に答えを探しにいかないか?」
黒、闇、くろ、暗、クロ。男を表すならそれしかない。それ以外の答えがあるなら教えてくれ。
少女は驚きの表情を見せながらも男を見上げる。
「もう一度聞く……答えを探しにいかないか?」
――私の目の前にいるのは天使か、それとも悪魔なのか?