小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

それでもキミを愛してる

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

一瞬芽生えた疑惑も、子供の目元が哲也に似ていたので安心した。

「母乳をやってる姿は男から見ると神々しいね」

「うん、この子の穏かな寝顔を見ると最高なんだ!」

「キミはいいママになれるよ」

「哲也もいいパパね」

幸せそうな風景だった。
彼女の目にやっとオレの愛が見えたのかもしれない。

ところがそれは哲也の甘いひとりよがりだったようだ。

子供が1歳半になった頃、悠子が頻繁に携帯を気にするようになっていた。
そしてついにあのおぞましい出来事が起こり哲也は奈落の底に引き落とされた。

な、なんと! あろうことか、悠子は子連れで元彼と逢引を重ねていた。
子連れでラブホに入っていたのだ。

最近の不審な妻の行動に疑問を抱き哲也は後をつけた。
そして知った衝撃の事実!

「今すぐ出て行け! もう二度とお前の顔なんか見たくない!」
哲也は赤ん坊を抱きしめ、叫んだ。

こんなところに連れてこられて母親と愛人の痴態をみせられる子供はどうなるのだろう。哲也は怒りに震えた。
今度という今度は赦せない!

その夜、おずおずと悠子が家に帰ってきた。
「何しに来たんだ、ここはもうお前の家ではない!」

「ごめん、どうしても謝りたくて、もう一度だけあなたの顔が見たくて……」

さすがに悠子は神妙だった。
子連れでラブホなどに行った自分の浅はかさを恥じているのかもしれない。

「どういうつもりなんだ?」
哲也はな高ぶる感情を抑えながら聞いた。

「ごめんなさい。もう二度としないから赦して! 私どうかしてたのよ」
わ〜っと泣きながら哲也の胸にしがみついてきた。
その夜、哲也は一睡もしないで悠子と話し合った。
こんなに真剣に話し合うのは初めてかもしれない。

悠子は本当に反省していた。
哲也は、結局赦してもいいという気持ちになってしまった。
元々は自分が惚れた女だ。
今まではオレの愛が見えていなかっただけなんだ。

これからはしっかりオレを見てくれるのなら、もう一度彼女とやりなおせるかもしれない。

雨降って地固まるというか、それ以後、悠子は家庭思いのよい妻、良い母親になった。

やっと見えたんだな、と哲也はほっとしている――。

作品名:それでもキミを愛してる 作家名:haruka