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アサガオ3

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海と一緒にいれる時間が減っていくにつれて、私の気持ちもますます焦るようになりました。この塾の課程が終わった時点で、私と海さんはあえなくなってしまうのからです。何度口に出さんばかりの言葉が海さんの冷たい態度に抑えられて、話す勇気がなくなりました。「もう諦めようか」とか「どうせ私ダメな男だから」などの声が心のなかに響きました。でも、塾の廊下で海さんと逢うたびに、彼女の目と合わせる瞬間に、何か私に伝えたいことがある気がしました。それは決して私のうぬばれじゃありませんでした。「こうならば、私の誘いを受けて、一緒にご飯を食べに行けばいいじゃん~なぜそんな曖昧なことばかりするの」と私は独り言をしました。ある日の昼食時間に、塾の近くで海さんを見ました。海のそばにいたのはあのみにくい先生でした。彼女たちはレストランの方に歩いていくように見えるから、私が厚かましく話しかけました。「先生、外食するのは初めてですね、めずらしい~いつもお弁当を持って来ましたから」「たまには外で食べてみたい、弁当を作るのは面倒くさいから」そばにいた海さんが何も言わず頭を下げただけです。「私もそのレストランに行くから、よかったら、一緒に行きませんか?」・・・先生は海の顔を見て、「海さんのオーケーが出たら、私がかまわないよ」と言いました。海さんが何も言わないままうなずきました。
 食事した時に、海さんが自ら自分の本名、故郷、誕生日までいろいろ教えてくれました。その時、海さんが私のことを嫌うわけではないと気づきました。いっぱい教えてくれて、うれしいはずだったのに、嬉しくなれませんでした。塾の課程が終わったら、海が日本に行くのですから。いや、これから彼女を「桓」と呼ばなければなりません。本名は桓と呼びますから。たぶんそれは桓が現状を維持する理由だったかもしれません。
 授業終了まであと2週間のある日の放課後、私がストーカーみたいに桓さんの後ろにつき従いました。桓に付き従って、交差点二つを渡った後、我慢できず桓さんを呼び止めました。「桓、歩いて帰る?バスで帰りますか?」「うちは塾から近いから、歩いて帰るよ、あなたは?」「私・・・バスで、あの・・・この授業が終わったら、別々にしてしまうじゃないですか、また連絡したいだから、電話番号を教えてもらえないかなと思って・・・」と思い切ってそうたずねました。「いいよ、XXXXX、これは今使っている番号。故郷に帰ると、新しい番号を変える。あの時、教えてあげる」と桓は嬉しそうな顔で答えました。きっと断られると思ったのに、そんな親切に教えてくれて、全然思わなかったのです。勢いに乗ってもっと話すはずだったのに、嬉しすぎて、何か言ったほうがいいかわからなかったので、ただ「じゃ、また明日」と言って、バスを乗りに行きました。
作品名:アサガオ3 作家名:長輝