アサガオ3
食事した時に、海さんが自ら自分の本名、故郷、誕生日までいろいろ教えてくれました。その時、海さんが私のことを嫌うわけではないと気づきました。いっぱい教えてくれて、うれしいはずだったのに、嬉しくなれませんでした。塾の課程が終わったら、海が日本に行くのですから。いや、これから彼女を「桓」と呼ばなければなりません。本名は桓と呼びますから。たぶんそれは桓が現状を維持する理由だったかもしれません。
授業終了まであと2週間のある日の放課後、私がストーカーみたいに桓さんの後ろにつき従いました。桓に付き従って、交差点二つを渡った後、我慢できず桓さんを呼び止めました。「桓、歩いて帰る?バスで帰りますか?」「うちは塾から近いから、歩いて帰るよ、あなたは?」「私・・・バスで、あの・・・この授業が終わったら、別々にしてしまうじゃないですか、また連絡したいだから、電話番号を教えてもらえないかなと思って・・・」と思い切ってそうたずねました。「いいよ、XXXXX、これは今使っている番号。故郷に帰ると、新しい番号を変える。あの時、教えてあげる」と桓は嬉しそうな顔で答えました。きっと断られると思ったのに、そんな親切に教えてくれて、全然思わなかったのです。勢いに乗ってもっと話すはずだったのに、嬉しすぎて、何か言ったほうがいいかわからなかったので、ただ「じゃ、また明日」と言って、バスを乗りに行きました。