炉黒一琉の邂逅
「これの何が楽しいの?」
はっきり言って本当に何が楽しいのか分からない。というか、こいつらが何を言いたいのすら分からない。
「偶然が生んだ産物さ。縦読みしてみなよ、炉黒君」
「縦読み? それでこの面白さが分かるなら・・・・・・」
僕は、そこに書き込まれていた文章の頭一文字を切り抜き、脳内でゆっくりと繋いで行った。
『ろ』『く』『ろ』『し』『ね』
「誰かの陰謀だ!」
偶然な訳がない。偶然でここまで綺麗に縦読みが決まるわけがない。しかも良く良く読んでみればハンドルネームも縦読みすると『ろくろしね』になっているじゃないか。
これが偶然じゃないとすれば、過去の同級生の悪戯だろうか。いや、そんな訳がない。
だって僕は友達が多いという訳じゃなかったのだから。
いや・・・・・・友達が少ないからこそこう言った事象へと繋がるのか?
ちょっと待てよ。こんなの鬼火ちゃんに悪影響過ぎるじゃないか。
「鬼火ちゃん、こういうのは楽しんじゃダメなんだよ? 死ねなんて言葉は使ってはいけませんよ」
僕は、何故だか分からないが途轍もなく冷静に微笑みながら言った。子供を躾けるには大人が冷静にならなければならない。
「炉黒君死ねー」
泣いてもいいですか?
僕は冷静になったのは、こういう風に言われるのを予測していたからだろう。この流れを予め蜻蛉さんと二人で計画していたのだろう。そう分かっていても、無邪気な笑顔で『死ね』と言われるのは、流石に堪える。
僕は、ライダーに肩をポンポンと慰められながら、目から出る汗を一雫手で拭き取った。
「鬼火ちゃんは可愛いから無罪放免だが、あんたには贖罪の時すら与えないからな、蜻蛉さん」
「くくく、滑稽だよ炉黒君。まんまと嵌められた君は滑稽でいて実に感嘆だね。ま、冗談はさておき本題はこっちのスレだよ」