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ファーストインスピレーション

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「ファーストインスピレーション」

 境界線が無い方が良い、終わりが無いよう
だから。
 彼女は、はっきりした方が良いと呟くように言った、自然体でごく当たり前のような、彼女が持つ静かな装い。
 彼女は、ほんの一瞬私が余所見している間に物音もせず隣へ、そして私は彼女を感じ振り返ると私を見つめ、私の腕を取り、両指で私の掌を確かめると、私の顔をそっとなぞり、私の目を見つめこう言った。
 「私の辿ったそのすべては貴方で私はそのすべてを証明している」
 山のように高く永遠と長い道に私は生きる希望を失い、肉体的にも限界が近づきつつあったそんな疲労と、時折やって来る眩暈の中
私に何かが、人間の本来持つべき心が宿るのを感じた。
 なぜかもう後がないと解ったら、何時に無く清々しい、その瞬間私は、人はきっとこうして死ぬのだと思った。
 徒、この地上で、命に値する閃きを得た時人間一つの尊さをも知る。
 それは私の中の一つの死を意味し又、一つの生きる糧と成ったこの瞬間生きとし生ける
ものすべてこの現世では夢と成った。
 私の夢は一つ己を証明する事それを可能に
するのはこの宇宙に一人のみ。
 此処に私はいない、即ち私は死ねない。
 どの道後なんて何処にも残されていないそうこの一瞬にすべてを賭けられるなら、私は本望だ。
 この命潰え、最後魂抜ける頃の取りとめ無い言葉より、君のその懐で眠りたい。